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「買いやすい刀」と「買いにくい刀」
有名な刀工の作、例えば虎徹(長曽根興里)の作がどの位現存しているかといえば、「虎徹大鑑」製作時で200と書いてありその後の10年で見た新資料も60~70振との事だったので、現在現存している虎徹の正真作は大体300振り程度でしょうか。
新刀期以降の著名工の作は大体200~300振位現存していると思われます。
それぞれの刀工には刀鍛冶になってまだ歴が浅く出来も若々しさの残る時期の「若打」、人気となり技量がピークを迎える「大成期」、そして弟子などを抱えて一門の棟梁となるような「晩年期」とに分かれます。
「大成期」が若い時にあるのか、晩年なのかなどは勿論刀工によって異なりますが、刀剣界の歴史上の権威の方が出来の傑出した物が多く残る時を第3者が判断して「大成期」と呼んでいます。
以前調べた事がありますが、虎徹なら大成期は、寛文年間(1661~1673年)以降と言われています。
その中で「虎徹の中の虎徹」とも称される刀があります。
それが重文指定の「住東叡山忍岡辺長曽祢虎入道 寛文拾一年二月吉祥日」でこれは1671年に虎徹が不忍池のあたりに住んでいた時代の刀。
乕徹の大成期に用いられた「虎入道」銘の作品。
虎徹の誕生年は色々説があります(1596年、1599年、1600年、1605年)が
1605年生まれとして計算すると、この刀を打ったのは66歳になります。
(ただ虎徹はもとは甲冑師であり刀工に転換したのは51歳ごろ。そう考えると刀工歴15年で傑作が生まれた事になります)
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このような感じでその刀工の代表作と言われるような刀が製作された年を調べると、堀川国広なら70~73歳ごろ、井上真改は46~47歳ごろ、津田越前守助広は38~46歳ごろ、と実にバラバラです。(詳細はこちら)
さてこうした出来の良い大成期の作というのは得てして値段も高くなります。刀の値段は「出来」、「状態」、「ブランド」、伝来などの「付加価値」といった要素で主に決まるので、出来に繋がる大成期の作は価格に反映されるのは自然な事です。
助広は寛文7年(1667)、30歳の頃には大波が打ち寄せるような刃文「濤瀾刃」を完成させたといいますが、中でも38歳以降、丸津田銘を使う用になってからが大成期と言われています。
助広は若打ちの作も比較的残っていますが、若打と大成期の作で10倍近くの価格の開きがある場合もあります。
という事で前置きが長くなったのですが、今回の話はここからで「買いやすい刀」と「買いにくい刀」についてです。
お金を持っていて刀の知識が無い人が良く陥る事象だと思うのですが、
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