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「刀箱漆」をお納めしたお客様からお写真を頂きました

少し前に4ヵ月程かかり製作が完了し送り出した刀展示ケース「刀箱漆」。

お客様から御写真を頂いて思わず興奮。

壁をコの字に凹ませそこに刀展示ケースがフィットしていますが、展示ケースを埋め込む為に建築家の方と相談しながらリフォーム頂けたとの事。
その際に建築家の方より、奥の床間の銀箔の壁と対にしてお互いを際立たせるものを創りたい、それを実現できる一流の※左官職人に黒い壁を塗る仕事をさせてほしいと依頼があったようです。

展示ケースをご依頼下さった方はもともと日本の消えつつある技術に関して、日本的美意識の継承者の方に大きなリスペクトを持たれていらっしゃるとの事で二つ返事で承諾されたようです。

そこでコテ跡を大きくつけた下地をつくり、それが半乾きの状態で薄く上塗りして凹凸を消す。それを3日間しっかり乾燥させると、60~240番までのヤスリを丁寧にかけて、表面は平らに削りながら奥から下地の厚みのあるムラ模様を引出すという二層の工程をされ完成したのがこの黒い壁との事です。

※左官職人
壁塗をする職人のことで、職業としての歴史は古く、城や寺院、茶室、蔵などの日本建築をはじめ、数々の建物を仕上げてきました。

壁の質感がとても上品です。素晴らしく美しカッコイイ。

一方展示ケースの方は、明るい部屋でも暗い部屋でも刀に集中出来るようにと、フロントドア部には反射防止を施させて頂きました。(この反射防止加工、昔はオプションにしていたのですが刀箱、短刀箱シリーズ、mokuについては現在は必ず施す仕様に変更しています)
これにより正面から撮影しても映り込みがあまり気になりません。
愛刀家の方は皆愛刀の写真を撮るのが好きなので、愛刀が美しく撮れる工夫というのは出来る限りしておきたいです。

・今回の御依頼を通して

私は「刀とくらす。」というコンセプトのもと、日本刀を現在の住宅にインテリア、アートとして溶け込ませるような展示ケースを作りたいという一心で製作に臨んでいますが、私の感性ではここまでの空間は絶対に作り出せませんでした。
愛刀家の方の感性、建築家の方の感性、本当に凄いです。
「刀とくらす。」を実現する空間は展示ケースをご注文下さった方と共に作り上げていくものなのだという事を改めて実感しました。
私1人では無理でもこのように写真を頂ける事で新しい視点を得られますし、目指している「刀とくらす。」というコンセプトイメージが自分自身の中でよりクリアになっていくのも本当に嬉しく、有難い事です。
今回も空間の作り方、演出の仕方から、とても勉強させて頂きました。

そして何よりご注文下さった愛刀家の方々と刀を見せ合いつつ、刀談義をするのが何よりも私は幸せです。
年齢も性別も関係なく共通の話題で楽しめる。
共通の趣味とはそういう様々な垣根やハードルを一瞬で越える事の出来るとても素晴らしいものに感じます。

私自身この仕事も趣味が高じて始めた事ではありますが、同じく刀が大好きな方々からご依頼頂けるので、その方の今後の「刀とくらす」生活がより良いものになっている光景を想像しながら製作するのはとてもやりがいがあります。
私の仕事は展示ケース作りでは無く、刀とくらすライフスタイルを提供する事だと思っています。

これからも日本刀の魅力を多くの方に感じてもらい、同時に身近に感じてもらえるような物を製作していくつもりです。
これからもどうぞよろしくお願い致します。

刀箱 漆


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

私の現在製作している刀展示ケースのラインナップについては以下をご覧ください。


↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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