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刀装具

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2023年10月の記事一覧

現代の目貫か、古い目貫か。

現代の目貫か、古い目貫か。

現代の目貫か、古い目貫か。
画像ではなかなか分からない物があり試しに購入。

いわゆる典型的な這龍目貫で宗乗以降に後藤家でもテンプレ化した姿のものであるが、三角鏨など見られない事や口周りの形状、薄造りな点から、鑑定で極められる可能性があるとすれば京金工あたりだろうか。

ルーペで見ていくと龍の鱗などはじめ細部まで細かく作り込まれているようにも見える。
ここだけ見れば古い物に見えなくもないが、しかし

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埋忠明寿以外の九年母図鐔の作柄について

埋忠明寿以外の九年母図鐔の作柄について

埋忠家は刀装具でも技巧的で絵画的な作品を多く残している集団ですが、刀や鐔の他、鏃(やじり)なども製作している事は私も先日初めて知りました。
相変わらずこだわり具合が常軌を逸している芸術家集団です。

因みに埋忠家が主にしていた仕事は、埋忠銘鑑や光徳刀絵図(寿斎本)から、「刀剣の摺り上げと記録、金象嵌の施入、刀身彫刻や直し、鎺や拵製作、刀剣や鐔、小刀、槍、鏃などの製作」などが伺えます。
ですので一概

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小刀に付いた謎の凹み

小刀に付いた謎の凹み

所持している小刀には樋の横に凹みのようなものがあります。

この凹みが何なのか。
「日本の美術1 NO332 日本刀の拵 至文堂」には日光助真の小刀が掲載されていたが、ここに付いた凹みは樋と同じような太さの物で、卵型の凹みとは異なるように見えます。

Xでは、凹みの中に銘などを入れる事で研ぎ減りなどから銘を防ぐ用途で入れられたと思われる物もあるとの事であるが、今回のものは凹み部に銘が入っていない為

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この落款のある刀装具は目利きコレクターの物

この落款のある刀装具は目利きコレクターの物

個人的に好きな刀装具は時代の上がる古い物であって、鐔で言えば山銅地の素朴な古金工作や太刀師、鏡師、あたりが特に好みです。
古刀匠や古甲冑師、金山は個人的にはあまり好きというわけではないですが、こちらも時代が室町頃まで上がる物になります。
このように桃山以前の刀装具を好む方は沢山いらっしゃいます。

実は手元の鐔箱に同じ落款の付いた物が2つあったのですが、どうやらその所有者の方、同じく時代の上がる鐔

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黒柿の鐔箱に入った鐔

黒柿の鐔箱に入った鐔

昨日のブログの続きで、今回は珍しい黒柿の鐔箱に入った中身についてです。

尚、通常鐔箱は左のような桐箱になります。
今回のような黒柿で出来た鐔箱は私も初めて見ましたが、箱その物が素晴らしい作品に見えます。

・鐔の表裏埋忠極めの無銘鐔です。
葡萄の葉や蔓(つる)を真鍮地に赤銅象嵌、部分的に金象嵌にて施されています。埋忠明寿や光忠に見られる独特の皺も見られ、桃山時代の物と考えられます。

黒柿の鐔箱

黒柿の鐔箱

一番好きな木材は何か?と聞かれれば私は「黒柿」と答えるでしょう。
白と黒の変わったコントラストの模様をしており水墨画のような風合いを醸し出しています。
正確に言えば黒柿という木があるわけではなく、樹の種類としては「柿の木」で、カキノキ科・カキノキ属に分類されます。

普通の柿の木は乳白〜淡黄色に近い色味をしているものの、稀に黒色が樹の中心部に入ることがあり、これを黒柿と呼んでいるのですが黒柿が出る

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現代の目貫を見て悩まされる

現代の目貫を見て悩まされる

偽物は刀だけではなく刀装具の世界も多いようです。
本当かどうか分かりませんが最近は金無垢目貫などの物騒な話もチラホラ耳に入ってきます。
聞く所によると裏行まで含めて精巧に出来ているんだとか。

そんな事もあり一度現代目貫と記載あるものをネットで調べる事で現代物を見極めるための何かヒントなど得られないかと思い調べてみました。
尚、今回ブログで紹介しているものは全て「現代物」と明記された物になります。

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古墳時代の鐔①

古墳時代の鐔①

個人的には桃山時代もしくはそれより時代の上がる鐔が好きなのですが、中でも一番古いのがこの古墳時代の鐔です。

そう…鐔は実は古墳時代から既に刀身に付いているのです。

そして面白い事に古墳時代の鐔には銀象嵌が施されている物が多く発見されています。七星剣などにも象嵌は見られますが、古墳時代から既に象嵌技術があったのですね。

以下は、小丸山古墳から出土した鐔のX線写真を撮った物だそうですが、X線によ

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