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#鉄鐔

成木鐔㉔ 伝村上義輝所用鐔写

成木鐔㉔ 伝村上義輝所用鐔写

重要文化財に指定されている伝村上義輝所用と伝わる鐔を成木一成氏が写した作。本歌は以下の作。

同図を船田一琴も写している。
こちらは独自の文字を刻んだり、耳に桜の象嵌を施すなどオリジナリティを加えている。

さて以下が成木氏の製作した同図の鐔。
こちらは本歌を忠実に写している。
横95.9㎜×縦96.2㎜×厚1.8㎜

ペラペラだが手で曲げる事は出来ない。
薄い板材を買ってきてそのまま使って作って

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成木鐔⑲ 中津川市制 四十周年記念鐔

成木鐔⑲ 中津川市制 四十周年記念鐔

成木鐔を探していると何度も何度も目にする鐔がある。
それがこの中津川市制40周年を記念して作られた鐔。

表には長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる「恵那山」と風流踊り、裏には中津川の市章と市の花であるサラサドウダンが描かれている。

同図の鐔はヤフオクでも度々出るし、昨年の大刀剣市でも出品された。

上記は2023年大刀剣市の時の物であるが、ここに書かれているように鍛造の鐔ではなく、鋳造の鐔に

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成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

今回紹介するのは昭和54年(己未)に作られた古刀匠鐔を写した鎌透かしの板鐔。成木氏は昭和53年から自家製鋼による鐔作りを開始している。
箱は無いが銘の形はこの時期のものと一致しているし、まず成木氏が製作した鐔で間違いないと感じる。
縦104㎜、横103㎜、厚み2㎜(耳、切羽台共)と大型。

こちらは常に見る成木鐔とは鍛が明らかに異質で、一言で言えば泥を乾燥させたような肌をしている。
爪ではじくとカ

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明寿っぽい鉄鐔についての考察②

明寿っぽい鉄鐔についての考察②

前回は捻り耳について明寿鐔と比較してみた。

今回は鐔に描かれた彫について考えてみる。
まずは描かれた模様が見やすくなるように鏨の入っている箇所を赤くしてみた。

鑑定書では波の図とあるが、山から木が生えているような図にも見える。
果たして何の図なのだろうか。
デザインの近しそうな波の図の鐔を探して見た。

・桃山期頃の信家の波の図

・江戸初期の埋忠橘宗義の波の図

自宅にある鐔関連の本を漁って

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明寿っぽい鉄鐔についての考察①

明寿っぽい鉄鐔についての考察①

先日オクにて面白そうな鐔があり落札した。
打ち返し耳が埋忠明寿かその近くの者の作と似ているような気がして頭から離れなくなってしまった。

鉄質については写真では分かりづらい所もありこれはある意味博打。
結論から言えば鉄質は手入れも行き届いており焼きなました鉄は艶もありとても良い物だった。
それがこちらの鐔。

「無銘埋忠」で保存鑑定書が付いています。

・埋忠明寿作との比較明寿の鐔の耳はなだらかな

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