講演を全編クイズ形式にしてみた
久しぶりの更新です。かたじけない。
今回は、2022年7月22日に株式会社マネジメントブレーンの会員制ワーキングスペース「i-office吉祥寺」の10周年記念イベントに登壇させていただいた時のことを書いてみようと思います。
講演依頼
5月末に株式会社マネジメントブレーン 代表取締役社長の姫野裕基 先生から「i-office10周年の交流会で講演してもらえませんか?」とお声がけいただきました。
株式会社マネジメントブレーンは、武蔵野市の「むさしの創業・事業承継サポートネット」の支援機関の一つでもあり、姫野先生は私にマーケティングの面白さを教えてくれた師匠でもあります。
何を隠そう、私がnoteを書くきっかけにもなった「公務員にもマーケティングは必要ですか?」の記事の元ネタは姫野先生に教わったものです。
これは断るわけにはいかない、恩返しのチャンスだとばかりに二つ返事でOKしました。
ありきたりな講演じゃつまらない
さて、OKはしたものの、何を話すかは決めていません。
まずは、聞き手とその目的等を整理してみましょう。(マーケティングで言う所の3C分析あるいはwill-can-need分析でしょうか)
聞き手
i-office吉祥寺の会員
その多くは創業間もない方
中にはお会いしたことのある人もチラホラ
武蔵野市で創業したばかりでまだ武蔵野市のことをよく知らない人も多い(はず)
15〜20名くらい
イベントの目的
主目的は会員同士の交流会
第一部の講演会は第二部の交流会に繋ぐためのいわば「前座」
求められる講演内容
堅苦しい内容よりは「聞き手の知りたい」、最低でも「知っていて損はない」くらいの内容が望ましい
できればビジネスに活かせる内容の方が自分事化しやすい
会場
i-office吉祥寺は何度も訪れている施設
プロジェクターやマイクもあり
キャパシティは20〜30名くらいなので、聞き手の反応もよく分かる
オンラインではなくリアルイベント
以上のことから、私なりに整理すると
つまり、ありきたりな講演じゃつまらない!という結論になりました。
クイズ形式にチャレンジ
私がイメージする「ありきたりな講演」は、例えば、以下のグラフを見ながら
「武蔵野市では卸売・小売業、サービス業、宿泊業・飲食サービス業の上位3つが、事業所数でも従業員数でもおよそ6割を占めています。」と報告する感じです。
この調子で報告、つまり話し手から聞き手への一方通行(話し手がしゃべりっぱなしで、聞き手は受け身的に聞くだけ)の状況が続けば、よほど面白い内容か、面白い語り口調でない限り、ものの数分で眠りに落ちるでしょうw
さて、どうしようと考えていた時に、たまたま私は資格試験の勉強中でした(勉強に集中しろよw)
ふと、手元の問題集に目を向けると、問題文の後に選択肢がいくつか並ぶ「択一式」でした。
コレだ!
GCPアンケート方式
これを思いつく上で、もう一つ欠かせない要素がありました。
それが「GCPアンケート方式」です。
コレが正式名称なのかどうか分かりませんが、私はそう呼んでいます。要は、ジャンケンの「グー、チョキ、パー」をカッコつけて頭文字を取っているだけw
以前、私が参加した「早稲田大学マニフェスト研究所 人材マネジメント部会」で経験し、大勢の聞き手がいても(キャパの広い会場でも)実施可能かつ有効だと感じた聞き手参加型の手法です。
聞き手はグーチョキパーの3択で自分の考えを表現できるだけでなく、一斉に手を挙げてもらうことで他者との違いも一目瞭然になるので、「あれ?みんなパーなの?俺の意見は少数派なの?」と不安になったり、逆にみんなと同じで安心したり、自然と隣の人と会話が生まれたりするので、結構盛り上がります。
今回は事前に近くの人と相談してから手を挙げるので、比較的みんな同じ意見になりますが、それでも少数派がいたりするので、こちら(話し手)も意外性があって面白かったです。
クイズ形式の進め方
完成したスライドがコレです。
このスライドで質問を投げかけ、30秒話し合ってもらいます。
「さぁ、お考えください、シンキングタイムスタート〜!」
気分はさながらクイズ番組の司会者ですw
聞き手の皆さんも自然とアイスブレイクできる上に、この間に話し手は水分補給したり、次の展開を考えたりと余裕時間が生まれます(決してサボっているわけではないw)
「では一斉に答えをどうぞ〜!」
手が上がったところで、「チョキが多いですね〜。グーもチラホラいますね〜」などと言いながら、みんなでキョロキョロ周りを見ると「あれ?やっぱりチョキだったかな?」などザワザワ。
「では、正解発表です。正解は〜、、、チョキで〜す!」と言って次のスライドに移ります。
正解した人は自然と拍手したり「やったー!」と声が出たり。
ここで初めて「実は、武蔵野市では卸売・小売業、サービス業、宿泊業・飲食サービス業の上位3つが、事業所数でも従業員数でもおよそ6割を占めています。これは20年間変わっていないんですよ。」と説明すると、聞き手も納得度が上がり自分事として聞いてくれます。話し手の説得力も上がります。
と、こんな感じで10問を作りました。
時間管理もしやすい
講演時間が40〜50分くらいだったので、1問当たり5分以内で進行するイメージです。
講演でありがちなのが、時間オーバーです。
聞き手の反応が分からず不安になって過剰に説明したり、逆に話すうちに気持ち良くなってしまってこぼれ話に花が咲いたりして、気づけば残り時間が少なくなってしまい、後半はハイペースで無理矢理まとめる、なんて経験がある人も結構多いのではないでしょうか。
この点、クイズ形式なら「今、何問目か?」を確認するだけで何割くらい進んだかがスグ分かります。
ちょうど10問にしたので、聞き手も何問正解できたかで、武蔵野市のことを何割くらい知っていたかが分かります。(この時は産業振興に関する内容がほとんどなので、分野に偏りはありますがw)
やってみて分かったこと
結果的には、後日いただいたアンケート結果からも好評だったようで、無事に交流会の前座として、アイスブレイクの役割を果たせていたようです。
クイズ形式をやってみて分かったことは、問題の難易度によって盛り上がる時と盛り上がらない時がある、ということでした。(冷静になって考えてみれば当たり前かもしれませんがw)
難しいくらいが丁度いい
簡単過ぎる問題は盛り上がりません。
問題を作成した時は、難し過ぎると考える事をやめてしまうかな?と思い、多少難易度を落とした問題を多めにしました。聞き手も正解が多い方が楽しいかな、とも思ったので。
しかし実際は、一番盛り上がったのは一番難易度が高い問題でした。先に例としてあげた「市内の業種TOP3は?」という問題です。
聞き手が創業者・ビジネスマンだった事も大いに関係があると思いますが、
「市内に製造業はあまりないんじゃない?」
「従業員数ならあの大企業があるからコレじゃないかな?」
「高齢化社会で医療関係は伸びてるよ」
などなど、みなさん自分の持つ知識を総動員して真剣に予想していたのが印象的でした。
逆に、以下の問題はなんとなく予想できてしまうからか、それほど盛り上がらなかった印象です。
あるグループからはこんな会話が聞こえてきました。
「こういう問題は、実績を多く見せたいから一番多いのを正解にするんだよ」
ズバリ出題者(私)の意図を読まれていましたね(苦笑)
聞き手に合わせた問題にする
これも当たり前ですが、聞き手の年齢や職種、環境や価値観などによってどんな問題にするかも考える必要があります。
この問題は、大学生にもやってみたことがあるのですが、今回の創業者・ビジネスマンとでは正解率や反応が違っていました。
問題の意図としては、世間的には人口減少社会、少子高齢化社会という言葉が常識として使われているので、G(グー)を誘導したいという内容です。しかし、武蔵野市の人口は微増が続いていますので正解はP(パー)です。いわゆる「引っかけ問題」ですね。
大学生は、こちらの思惑どおりグーが多いので、「日本全体では人口減少しているけど、武蔵野市に地域を限定すると増えているんだよ。なぜかな?」という感じで、その後の説明にも説得力が増すのですが、創業者・ビジネスマンはやはり顧客や地域の分析をしているからでしょうか、正解する人が多かったですね。
この時は「みなさん、さすがですね〜!」と言って誤魔化しましたが、内心は驚いていましたw
大学生向けにはこの内容・難易度で良かったのですが、創業者・ビジネスマン向けには
くらいの内容・難易度で良かったかもしれません。(ちなみに正解はCの6%増です)
以上、講演を全編クイズ形式にしてみて分かったことをまとめます。
上記のメリットを感じましたので、もし講演内容に悩んでいる方がいらっしゃれば、ぜひお試しください。
改めて自分は、講演や講義など人前で話す仕事が好きなんだな、と感じました。
最後まで読んでいただき、かたじけない!
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