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【詩】空の眺め

空を見あげている
青空に、雲が横たわっている
白い雲、灰色の雲、分厚い雲、薄い雲
どんな力の仕業だろうか
果てしなく、浮いて流れるこの空の
どこに真実があるのだろう
 
眼に映る、大空の絵は
一瞬に過ぎゆく、奇跡の眺めだ
絶え間なく移ろい
色も形も、とどまることはない
二度と、同じ姿にもどりはしない
不規則が、規則的に重なり合い
連続が、不連続に繰り返す
 
人は、空へ空へと背伸びをして
眺めの麓を侵してゆく
我が物顔で立ちふさがる
だが、坂を下る景色の向こうに
見失ってしまった地平線を
追い求めるのは、なぜだろう
 
目の前を、ツバメが横切った
波打つ軌跡に、目がくらむ
そうだ、すべてうたかたの影
繰り返す、脈動の渦
波間に揺れる、光のしぶき
青い高みの果てのないむこう
湧いては消える雲のこちら
境目もなく、掴みようもない
どこからどこまで空なのだろう
 
きっと空は、心の鏡だ
見ているけれど、見えていない
みつめるひとみを、みつめられている
まぶしい反射で、照らしている


©2022  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。