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3Dはラク?ズル?

ご無沙汰になっております!ありがたいことに忙しくしております。
お仕事として絵をかくようになって、すごい速さと質を求められるようになりました。
いろいろなツールに本当に助けられているのですが、今回は3D素体のお話です。

3Dはなぞればいい?

3D素体、私は大体顔と手のみ使用しています。
顔に関しては特に、絵柄改善後の比率が手癖で戻らないように、比率を崩さないために使っています。
絵柄改善に関してはこちらの記事を。

手に関しては自分で見られない角度やからんだ手などですね。
2Dのトレス可能な合法のリファレンスやハンドモデルのフィギュア等を使ったりもします。


使い始める前は3D素体使うなんてずるいとか、なぞったら不自然になりそう、と思っていました。
でも、そもそも3D素体は「なぞるためのもの」ではなかったんですね。
比率の参考、見え方の参考のアタリにつかうものだと気が付いてから、その便利さに手放せなくなりました。
3Dなぞればいいなんて俺でもできる、デジタルは簡単でいいなあ、なんていう人もいますが「なぞるためのものではない」とはどういうことか。
なぞると魅力的な、自然な絵は描けないということです。

じゃあ、どうつかうの?

まずなぞったものですが…

これがただそのままなぞったもの。不自然ではないですが…(髪の毛のボリュームぶん頭は大きくなりますので頭頂部は3Dより高くなります)

不自然ではない…比率も自分の絵に準じていますが、これは私の描きたい絵ではないです。
見たときに斜めだろうと横顔だろうと、自分の絵柄で施されたデフォルメのまんまに角度が付いているように見えないといけません。

ということでおなじ3Dでアタリを取ったものがこれです。

細かく微調整されているのがわかるでしょうか?あと、漫画の場合はあえて線を切り、描かない部分を作るのも大事なことです。

修正点の詳細はこうです。

赤が3Dをそのまんまなぞったもの、黒が直したものです。

この修正に関しては、原稿ではいちいちなぞったものを修正しているのではありません。
時間がかえってかかっちゃいますからね。
3Dは真正面の比率に合うように整えて調整していますから、いろんな角度にしたときに「自分の絵柄ならどこをどう描くか」を頭に入れて使うといいと思います。
首は太く直す、目は細めに目じりを広くとる、とか1回言語化しておくといいでしょう。
言語化しておくことで毎回意識に上り、絵柄が安定するのは実感しています。

顔以外もつかってみる

手のモデルにしても、3Dの手はツルっとしていますから、女性の手なら指先を細く爪を綺麗に、とか男性なら節や筋を強調したり、絵に直す際に細かい微調整をしながら下絵に落とす必要があります。


男子の手らしくゴツッとした感じを出したい!

これは縦スクの作画のときにあまりに時間がなくてやっていたのですが、
体に関してはパーツの比率を取るためなので、大まかな向きなどだけ合わせてアタリとして配置し、直にペン入れをするという時短法もあります。

このキャラは軍人なので大柄です。比率だけ合わせて描いているのがわかりますか?
ちなみに縦スクの場合、色を塗るものなのでペンの強弱はつけないように指定されています。

3Dに細かくポーズを付けるのってすごく大変なので、大体近いポーズをDLしておけば、あとはパーツの長さだけずれないようにして自分の描きたいポーズにしてしまうのが早くて便利です。
上の画像は縦スクなので服を着て着色前提のアウトラインで描き込まずにいますが、骨のでっぱりや筋肉のふくらみ、服のしわなどは3Dでは補えないので、自力で描く必要があります。

白黒原稿用に描き込むとこんな感じ。(別作品です)使うのは3Dのパーツの長さと角度だけ

つまり3Dを便利にアタリに使うには

なぞらなくても自然に人体を描けるくらいの力は必要なんですね…
そこまでいくのはちっとも「ラク」でもないですし、スキルを使って利用するわけですから「ズル」でもないと思います。
3Dとうまくお付き合いできるようになったので、とてもありがたく時短になっています。

ではまた時間が空いたときに更新しますので読みにいらしてくださいね。


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