春日権現験記絵 巻四
第一段
知足院殿が東三条殿にいらっしゃった頃、御夢のなかに、ある尊い僧をお呼びになって、密教の教えをお受けになった所、その傍に、見知らぬ法師が2,3人が近くに寄って来ていた。「何者か」とご覧になると、その僧の口には鳥のくちばしがついていた。「天狗であるぞ」とお思いになって、「どうやって、この東三条殿の邸内にこのような物が参るのか。角振の明神(鎮守神)はいらっしゃらないのか」とおっしゃったので、その御声に従って、春日大社の神主である時盛が参上して伺候した。これを見て、天狗法師