第24首 梢の雪の花
※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。
【第24首】
花よただ まだうすぐもる 空の色に 梢かをれる 雪の朝明け
《はなよただ まだうすぐもる そらのいろに こずえかおれる ゆきのあさあけ》
(風雅和歌集/藤原為子《ふじわらのためこ》)
【イメージ】
花が見える。
まだ薄曇りの空に向かって伸びた枝先に白い清楚な花が。
いや、あのつややかな輝きは、どうやら雪のようだ。
遠い春を確かにこの目にした、冬の朝明け。
【ちょこっと古語解説】
○うすぐもる……雲や霞が薄く一面にかかって空を覆う。
○梢《こずえ》……枝の先のこと。
○かを《お》れ……元の形は「かをる」で、つややかに美しく見えること。現代語と同じように、よい香りがする、という意味もある。
○る……元の形は「り」で、存続を表す助動詞。「~している」ほどの訳。
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