第1首 冬を告げる

※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。

【第1首】
 都にも 時雨やすらむ 越路には 雪こそ冬の はじめなりけれ
《みやこにも しぐれやすらん こしじには ゆきこそふゆの はじめなりけれ》
(新葉和歌集/宗良親王《むねよししんのう》)

【イメージ】
 ちらほらと初雪が舞い降りる。
 冬の訪れ。
 都では今頃、時雨が降ることだろう。
 ここ越路では、雪が冬の始まりを告げるのだなあ。

【ちょこっと古語解説】
時雨《しぐれ》やすらむ《ん》……「今頃、時雨が降っているだろうか」ほどの訳。「や」は疑問を表す助詞。「らむ」は現在の推量を表す助動詞で、「今~しているだろう」ほどの訳がつく。時雨は、晩秋から初冬にかけて降る雨のことを言う。
越路《こしじ》……北陸道の古名で、今の福井県・石川県・富山県・新潟県に当たる。
こそ……強調を表す助動詞で、訳には表れない。
けれ……元の形は「けり」で、詠嘆を表す助動詞。「~だなあ」くらいの訳。

→第2首へ

読んでくださってありがとう。もしもこの記事に何かしら感じることがあったら、それをご自分でさらに突きつめてみてください。きっと新しい世界が開けるはずです。いただいたサポートはありがたく頂戴します。