第17首 氷らない川

※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。

【第17首】
早き瀬は 氷りもやらで 冬の夜の 河音たかく 月ぞふけ行く
《はやきせは こおりもやらで ふゆのよの かわおとたかく つきぞふけゆく》
(新拾遺和歌集/小倉実教《おぐらさねのり》)

【イメージ】
 冬の夜に、高らかな水音が響く。
 川が流れている。
 寒さが厳しいが、流れの速い川は氷りもしない。
 そのうちに夜が更けて、川面に月の姿が映る。

【ちょこっと古語解説】
瀬《せ》……川や海の浅くなっている所。浅くて流れの速いところも指す。
やら……元の形は「やる」で、「すっかり~する」と、ある動作が最後まで行われたという意味を表す。
……打消《うちけし》接続を表す助詞。「~ないで」ほどの訳。
ふけ……元の形は「ふく」で、夜が深くなること。

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