第16首 秋風と同じ
※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。
【第16首】
霜ふかき 籬の萩の かれ葉にも 秋のままなる 風の音かな
《しもふかき まがきのはぎの かれはにも あきのままなる かぜのおとかな》
(新拾遺和歌集/足利尊氏)
【イメージ】
垣根の萩の枯葉に、霜が深く降りている。
その枯葉に吹きつける冬の風の音。
萩には秋風と決まっているが、なんの、冬の風も負けてはいない。
秋風そのものとも思えるような寂しげな音色を奏でている。
【ちょこっと古語解説】
○籬《まがき》……竹や柴などで、目を粗く編んで作った垣。
○萩《はぎ》……秋の七草の一つ。夏から秋にかけ、紅紫色または白色の花が咲く。
○なる……元の形は「なり」で、断定を表す助動詞。「~である」ほどの訳。
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