第18首 雲を伝う月
※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。
【第18首】
さゆる夜の 雪げの空の 村雲を 氷りてつたふ 有明の月
《さゆるよの ゆきげのそらの むらくもを こおりてつたう ありあけのつき》
(新拾遺和歌集/二条為世《にじょうためよ》)
【イメージ】
しんしんと冷え込む冬の夜、空は雪が降りそうな気配。
ひとむらの雲が黒さを増して、ときおり吹く風に有明の月がのぞく。
全てを氷りつかせるような清新な光が現われては消えて、
月がまるで雪雲を伝って動いているように見える。
【ちょこっと古語解説】
○さゆる……元の形は、「さゆ」で、冷え込むこと。
○雪げ……雪の降り出しそうな気配のこと。
○村雲《むらくも》……集まりまとまっている雲。
○有明《ありあけ》の月……夜が明けてもまだ空に残っている月。
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