第26首 暮れない庭
※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。
【第26首】
暮れやらぬ 庭のひかりは 雪にして 奥くらくなる 埋火のもと
《くれやらぬ にわのひかりは ゆきにして おくくらくなる うづみびのもと》
(風雅和歌集/花園院《はなぞののいん》)
【イメージ】
いつまでも暮れてしまわない庭の不思議。
謎の光は夕日の残照を返す白雪の輝き。
庭の明るさに部屋の奥が一層暗くなり、
燃え残る炭火の光がほのかである。
【ちょこっと古語解説】
○やら……元の形は「やる」で、動詞の下について、「すっかり~する」の意を添える。
○ぬ……元の形は「ず」で、打消を表す助動詞。
○にして……「~で・~であって」の意。
○奥……部屋の奥のこと。
○埋火《うづみび》……灰の中にうずめた炭火。
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