第27首 時雨と住む

※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。

【第27首】
 雲かかる 深山にふかき 槇の戸の 明けぬ暮れぬと 時雨をぞ聞く
《くもかかる みやまにふかき まきのとの あけぬくれぬと しぐれをぞきく》
(続後拾遺和歌集/飛鳥井雅経《あすかいまさつね》)

【イメージ】
 雲のかかる奥山に居を構える。
 季節は冬、訪れる人もいない。
 閉じられた槇の戸から時折雨音が聞こえてくる。
 その時雨の音だけを聞きながら暮らす毎日。

【ちょこっと古語解説】
深山《みやま》……人里から遠く離れた山のこと。
槇《まき》……杉や檜《ひのき》などの常緑の針葉樹の総称。
……「~ぬ~ぬ」という形で、動作が並行する意を表す。「~たり~たり」ほどの訳。
時雨《しぐれ》……晩秋から初冬にかけて降る雨、ぱらぱらと降ってはやむ。

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