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少女とクマとの哲学的対話

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#嫌われる勇気

少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察12」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

他者信頼から他者貢献へアドレリアン「さっきは申し訳ない。わたしをだまそうとしているのではないか、などと、アドラー心理学を学んだ人間として恥ずべき発言をしました」
クマ「いや、そんなことは無いさ」
アドレリアン「いえ、真に恥ずべき発言です。しかし

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察11」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

行為から存在へアドレリアン「お答えします。確かに、寝たきりの老人は共同体に対して、何も援助を申し出ていないようにも思われます。しかし、そうではありません。人はそこにそうして存在しているだけで価値があるのです。存在していることが、共同体にとってす

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察10」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

共同体へのコミットアドレリアン「人が自分を世界の中心としてとらえる理由は、決まっています。それは、どうしても自己に執着してしまうからです」
クマ「では、そもそもどうして人は自己に執着してしまうんだろうか」
アドレリアン「やはり、それは、人間が本

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察9」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

共同体感覚アドレリアン「仮にですよ、仮に、全ての悩みが対人関係の悩みではなかったとしても、現に対人関係に悩んでいる人がたくさんいるわけですから、その悩みを解決するための理論が必要とされることは、承知していただけますね?」
クマ「あるものを必要と

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察8」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

自由の本質アドレリアン「承認欲求を捨て、課題を分離し、自己の課題に取り組むことに集中する。これによって、真の自由が獲得されるのです」
クマ「なるほど、しかし、これまで一緒に話してきて分かったけれど、それはなかなか困難な話じゃないかな」
アドレリ

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察7」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

課題の分離の困難アドレリアン「たとえば、なかなか勉強しない子がいるとしますね。学校で先生の授業も聞かないし、宿題もやらない、塾に通わせようとしても嫌がるような子です。あなたが親ならこういう子に対してどうしますか?」
クマ「そうだねえ、その子がど

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察6」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

欲求は否定できないクマ「それにしても、人生のタスクというのは、なかなかいい話だね。人に勇気を与える話だ」
アドレリアン「何ですって? 人生のタスクが人に勇気を与えるというのはどういうことでしょうか。人生のタスクに向かいあうために勇気が必要なんで

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察5」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

アドレリアン「どうも、あなたとお話ししていると、わたしがこれまで学んできたことに疑問が生じてしまう……わたしは間違っているのか? いや、しかし、そんなハズは…………ハッ! ダメだ、ダメだ。もしも、間違っているとしたら、素直にそれを認めなければ、

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察4」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

クマ「キミが前に話してくれた、相手を屈服させるために怒りを捏造するという話は面白かったな。まあ、ああいう風に考えることができれば、怒ることっていうのは減るかもしれないね。『今のこの怒りは相手を屈服させるために利用しているに過ぎないかもしれんぞ』

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察3」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

アドレリアン「対人関係について、ちょっと別の側面からお話ししたいんですが、えーと、きみ、アイチさんだったかな、きみは『劣等感』という言葉を知っているかい?」
アイチ「うん、知っているよ。自分が他人より劣っているっていう感覚のことだよね」
アドレ

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察2」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

アドレリアン「この前は大変失礼いたしました」
クマ「いや、何も失礼なんてことはないよ。色々と興味深い話が聞けて楽しかったよ」
アドレリアン「そう言っていただくとありがたいのですが、どうも、この前は、アドラーの教えの素晴らしさを、わたしの口べたの

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少女とクマとの哲学的対話「『嫌われる勇気』に関する考察1」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
アドレリアン……アドラー心理学を学ぶ人。

アドレリアン「ああ、アドラーは素晴らしい。わたしは、アドラーの教えを知って、目の前がすっきりと晴れ渡ったようになりました。人生を自分の力で切り開いていく勇気を持つことができた。わたしはいつでも新しい自分に変わることができる。そうして、幸せになれ

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