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スポーツといえば、野球。

うちの息子は、野球部に入っている。
「少年野球チームに入りたい!」と自分から言い出した。
わたしはというと、野球は素人だし、スポーツに、あまり興味もない。
どうして、息子が野球したくなったのか、よくわからないでいたが、どうやら父とのキャッチボールが楽しかったらしい。
野球は日本では、メジャーなスポーツだが、世界目線でみれば、野球が出来る場所と道具がそろっていることのほうが珍しいらしく、オリンピックでも、時折競技種目から外されるような種目だ。
ルールも、ちょっと複雑な気はする。
それに何より……。
野球は、9人そろわなきゃ試合が出来ないルールである。
試合のチームとして登録するには、最低10人のチームメンバーが必要なのだ。
チーム事情として、人数が少ないチームは、そのままじゃ試合に出ることもできないので、人数が足りないチーム同士で合同チームとして動くことになる。
華やかな野球スクールの裏で、チームの人数不足に悩むチームは意外と多い。

あと、これは、少年野球チームならではの事情だが、小学生というのは、低学年と高学年とでは、身体の大きさも出来ることも全然ちがう。
だから、小学生向けの公式試合に出られる学年の区分で、高学年対象(6年生と5年生)のA級、全学年対象(実質、主に5年生から下の学年となるが)のB級、低学年対象(1年生から4年生まで)のC級の3つに分かれている。
春先は、B級のための公式試合もあるのだが、夏休みを越える頃になると、公式試合の運営の方は、A級とC級に分かれた状態で開催されるケースが多くなる。
そうなると、A級の高学年のチームメンバーはたくさんいるけど、C級のチームメンバーは数が少なくて、全学年対象のB級ならチームとして人数が足りていても、いざチームをA級とC級で割ると、人数が足りてないというケースも多い。
実は、うちのチームも、C級にあたる低学年の子が、ちょっとのところで少ないという事情はある。
このままでは、C級の中で高学年な4年生が、来年5年生に学年が上がり、A級で試合するような頃には、また合同で組んでもらえるチーム探しをせねば、試合に出られなくなる可能性もあるのだ……。
子供の数が減ったこともあるが、やはり共働きの親も増えて、野球のために土日祝に時間を割くことに不安を覚えるという事情もあるのかもしれない。
お茶くみ当番を無くしてみたり、なるべく負担を減らす試みをしてみたり、まずはチームの存在を知ってもらおうと体験会を開いたり、ビラ配りしてみたり、学校で部活紹介してもらったり、と出来ることをやっている。
そこまでやって、自転車操業状態だ。
そもそもの話、少子化が進んで、一つ一つの学校の学年のクラス編成がひとクラスやふたクラスくらいなのも当たり前の学校だらけとなり、学校レベルの合併などの規模適正化が言われるような状況の中で、「野球の試合のチームメンバーは10人いないといけないルール」が、どの少年野球チームにとっても、少し重たい。
控えメンバーを含めれば20人までベンチに入れるといったって、その20人を越える人数を集められる少年野球チームというのは、ごくわずかなのが現実だ。

都市部は、まだ、そこまで深刻でもないかもしれないが、今の少年野球チームの現実は、早ければおそらく5年後から10年後の、日本各地にある、それぞれの高校野球部の現実として現れだすだろう。
中学生になってから野球をはじめる子もいてるとはいえ、そこまで爆発的に伸びるとは、思えないのも事実だ。
「ごく一部の人気の高い私立の強豪校がお金の力を使って野球部の選手を独占するということが問題だ」なんて言われていたのも、昔の話となるかもしれない。
それでも、一部の強豪校はスカウトの力も駆使して、しばらくは高校の野球部を維持し、結果的に、高校野球をテレビで見るだけの層の目には、何一つ例年と変わりない地方大会に何一つ例年と変わりない甲子園大会をやってみせるだろうけど、その裏で、多数の高校の野球部は廃部あるいは合同チームを組むことを余儀なくされている。
コロナ禍の最中に生まれた子供たちが高校野球球児となる年の頃には、おそらく、従来の強豪校と呼ばれる高校ですら、少子化と少年野球人口の減少の影響を受け始めるし、試合数も、減らさざるを得なくなるだろう。

そもそもの話、少年時代に取り組むスポーツの種類が多様化したことに加え、YouTuberに夢中になる子どもたちや、タブレットやスマホを通じてオンラインゲームをやっている子どもも増えているのだ。中学受験のために勉強ばかりさせる家庭も多く、野球のために少年時代の時間を割いていただくという選択をしてもらうことが難しくなってしまっている。
それに、元々、どのスポーツ競技の種目にせよ、スポーツを楽しめる自分になるためには、ある程度以上、地道な練習の時間が必要だ。
少年野球チームの場合は、体験会で、まずは準備運動としてランニングを一緒に走ることからはじめるのだけど、その様子を見て、「え!?一緒に走るの!?」となる子供もいるのである……。どんなスポーツでも、気軽な準備運動として、最初に軽く走るということがリアルに想像できない子供も増えてしまってるのだ。
そこから、球を投げる練習に、バットにボールを当てる練習を毎日積み重ねて、ようやく試合が出来る自分になれて、楽しくなるというのが野球の楽しさなのだけど、ここのレベルになるまで自分自身を育てる力が今の子供たちに欠けつつあるのだ。
それよりは、タブレット越しに各YouTuberを見て、面白がる方が手軽で気楽ですぐに楽しい気分になれるから、どうしてもYouTubeを見ることやTikTokを見ることに時間を割いてしまいがちになってしまってる。
だからといって、YouTubeを見ているうちに「自分もYouTuberになりたいな。そうだ!YouTubeに動画投稿してみよっと!」と行動に移す子供は、ごくわずかだ。大人が諦めさせるように話を持っていくからということもあるかもしれないが、そもそも、「YouTuberって、平凡な子供である自分も、チャレンジしてみれば、そうなれる存在」という発想もないような気もしてくる。
そんな状況を見ていると、スポーツブームとは言うけど、実際に身体を動かして、スポーツに参加することで楽しむ人って、どこまでいるのだろう?

個人競技の種目のスポーツであれば、まずは身体を動かしてごらん、じゃあ競技の練習してみようか、ほら、出来た!というくらいで、身体を動かさなきゃスポーツは楽しめないっていうハードルを越えられるんだけど、チームスポーツは、どのスポーツでも、それぞれの種目のチーム規定の人数を集めなきゃ話にならない。10人なら10人、5人なら5人集めなきゃ、試合に参加できないのだ。
そのために、少しでも、そのスポーツに興味がある人、スポーツしたい人を集めるにしても、大人でさえ、昔に比べると一人ひとりの人間関係の動員数の平均値がガクンと減ってしまっているのも実情としてある。
気楽に過ごそうと思うと、人間関係が断ち切れていくことを気にしない方がいいって空気感に傾いている面もある。
一方で、人気YouTuberなどのインフルエンサーのように、ごく一部の面白い人間にだけ、人間関係の動員数が傾いていってる傾向もあるのだ。外れ値のようなインフルエンサー一人が、ポンッと少年野球の現状について言及すれば、各地の少年野球チームに人が集まるやろか?
例えば、大谷翔平が、今の少年野球チームについて、何か言えばいいのか?
イチローが注目浴びていた平成の時代は、そんなこともできたけど、もう、令和の今はインフルエンサーの言葉で人が動く時代ですらない。
そのごく一部の動員数を握っている人々ですら、かつてほど地盤となる動員数かたくないからね。そして、みんな自分の意見を抱えているし。だから、かなり流動的であり、日の目を見たかと思った瞬間に人集めできていても、あっという間に人が消え去ってしまう。飽きてしまうこともあれば、トラブルを起こして休むこともあれば、別の場所へ引っ越す場合もある。そんな時代の中で、たとえ学生時代の数年間とはいえ、チームを組めるだけのスポーツ愛好者を集めることって、年々ハードル高くなっている一面もあるんだ。
このままだと、日本は、個人競技のスポーツ演目はとにかく、チームスポーツに関して、運営も厳しくならざるを得ないだろう。
近年は、都会を中心に移民の子が増えつつあるというけど、彼らの多くは日々を生きるだけで精一杯だから、どこまで、それぞれのスポーツのチームの一員となってくれるか未知数だ。
そんな中で、地域の中で、集まれる人を集めてスポーツチームを組むということ、チームを維持していくことというのは、たぶんにチームスポーツを楽しむ人たちの課題なのかもしれないな。

#スポーツといえば
#野球
#チームスポーツの現実

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