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インスタントフィクション【牛乳】



私のトラウマの完了は「牛乳」である。
私は牛乳が飲めない。
におい、いろ、あじ…全てにおいて、私の感覚とズレている。だが、まったく飲んでいないわけでもない。
小学校1年生までは、飲んでいた記憶があるのだ。夢だったか、現実だったかはこの際気にしない。
あったかい牛乳なら飲める!と言葉にして喜んだ記憶があるからだ。



しかしそれから一年間の記憶がない。つまり、小学校2年生の記憶がすっかりない。時空を越えてでもいただろうか、なんでやねん、

そして、小学校3年生になった頃には、給食でいつも牛乳を残し、昼休みにみんなの前で先生と一対一で向かわされ、「飲まない」ことがまるで、法を犯したことかのように毎日拷問を受けていた。


それ以来、私は一切牛乳を視界にすら入れたくなくなってしまった。毎日牛乳のやり過ごし方を考えることで必死だった。今では見ることくらいはできる。


つまり、私のトラウマ払拭がの完了の合図は「牛乳」であるということだ。



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