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エッセイ【朝】


昨夜から聴こえる優しいあたたかな雨音に夜中から安心していた。
つい夜更かしをしてしまったかな。


朝、いつもの時間に自然と目が覚めた。
目覚ましはあと30分後に鳴る予定だ。
それでも身体は不思議なもので、いつものリズムを取ろうとするのである。
右手が身体に挟まっていて、じんじんと痺れる。
ゆっくりまぶたが落ちた。
二度寝である。


また目が覚めた。
まだカーテンは開けない。
雨の日にしては、少し明るい光を感じているからだ。
もう少し、味わっていたい。
雨の降る景色を想像していたい。

足先は冷たいのに、顔は火照っている。顔の表面だけ、熱の厚い膜に覆われているような感覚だ。私はこの感じが少し苦手だ。
早く顔を洗いたい。でも、まだ味わっていたい。
朝から葛藤を繰り返す。
タオルケットを冷えた身体にまっすぐかけて、
忙しくなる今日を想像しながら、昨日のモヤモヤした気持ちが少しスッキリしているように思えて、珍しくいい睡眠だったと思った。


またもや耳のすぐ横で携帯の目覚ましがなった。予備のベルだ。
私は心配性なのである。
この何段階もの目覚ましのおかげで、起きることができる。起きられないこともある。ありがたいと、心から思う。


そろそろ天井を見るのも飽きてきたし、顔を洗おう。
今日も生まれることができた、
始まったんだと、清々しく思うのである。

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