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スタートアップファイナンス

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スタートアップのファイナンスやIPOに関するnoteをまとめています。
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#資本政策

CFO Tech

前回書いたスタートアップCFOのネクストキャリアがなかなか好評頂いたので今回もCFO関連で。 前職でCFOをしていた頃「こんなプロダクトがあったらいいのに」と思うことが色々ありましたが、ここ1-2年、そんな「あったらいいながある!」を目にする機会が増えてきています。ここでは「CFO Tech」というテーマでいくつかピックアップしてみました。 (現職でも引き続き投資家として様々なスタートアップとは向き合っているものの、CFO職務自体は離れて数年たちますので感覚が古かったらご容

税制適格ストックオプションの権利行使価額に関する通達案を読む

喧々囂々であった信託型ストックオプションや有償ストックオプションに関するQ&Aについてはまた別稿といたしますが、5月29日に国税庁からスタートアップ関係者向けに説明のあった、税制適格ストックオプションの権利行使価額に関する通達案は、これまでの税制適格の権利行使価額の設定からみるとパラダイムシフト的なものといえますので、少し検討してみたいと思います。 (速報的に記載するものであり、正確な内容を踏まえて随時調整をすることをご容赦ください。実際の検討の際には、別途税務アドバイザー等

スタートアップ資金調達概論

はじめに 2022年に入り、スタートアップを取り巻く環境は昨年と比べて激変しており、資金調達含む資本政策にも影響を与えています。 このような環境下、CFOを務めるメディフォンでそこそこの規模感の資金調達活動を行いましたが、その中で感じたことや実務経験を踏まえ、資金調達のステップやポイントにつき、できるだけ分かりやすく説明していこうと思います。 資金調達には様々な流派があると思いますが、少なくとも私はここで記載しているやり方をベースに、これまで何度か資金調達を成功させてい

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株式市場の調整がもたらすスタートアップへの影響

TAKA(@Murakami_Japan)です。米国の利上げによる長期金利動向を背景に、米国でハイテク株の株価調整が始まり、日本でも昨年11月以降新興企業の株価調整が一気に進みました。株式市場ですから、一定のボラティリティがあることは前提ですし、それ自体は長い目で見れば目新しいことではないでしょう。ただ、株式市場の動向がスタートアップへどのような影響をもたらすかはまた別問題です。単なるボラティリティに留まらない可能性があります。今日は2022年を占う意味でも、昨年末からの調整

第7回 資本政策と株主の関係 / プレイドIPOの軌跡

こんにちは、プレイド Legalチームの澤井と申します。 いつもお読みいただきありがとうございます。 今回は、普段、私が注力しているガバナンスの視点から、プレイドのIPO終盤での資本政策と株主の話にフォーカスしてみたいと思います。 プレイドのガバナンス「ガバナンス」って、人によって様々な捉え方があるワードだと思います。 プレイドでも考え方が統一されているわけではなく、その捉え方や思いも日々アップデートしてきているような感覚でいます。 最近は、すごい端的にまとめてしまうと、会

第5回 なぜグローバル・オファリングか?そこから何を学んだか?/ プレイドIPOの軌跡

こんにちは、プレイドの武藤です。みなさま、いつもこちらの連載をお読みいただき、ありがとうございます。毎回、多くの皆様にお読みいただいており、大変ありがたく思っております! グローバル・オファリングは通常は大規模な案件で用いられるオファリング手法です。マザーズ市場においてグローバル・オファリングでIPOを実施したのはメルカリさんとフリーさんだけだと理解しています。当社は公開価格では600億円強の水準でしたので、グローバル・オファリングをする規模としてはかなり小さい案件でした。

第4回 IPOにおけるCEOの役割とは?/ プレイドIPOの軌跡

プレイドのIPOプロセスをリレー形式で振り返る連載企画。第4回はCEOの倉橋健太が、IPOプロセスにおけるCEOの役割、超えなければならない“ハードシングス”を語ります。聞き手はCFOの武藤健太郎が務めました。 我々は今回のIPOのプロセスを通じて、ありがたいことに、多くの魅力的な投資家の方々と新たに関係を結ぶことができました。また、これまでお世話になってきたVCの方々にも、ある種経済合理性を超えて、ベストなIPOを果たすためにと、快く送り出してもらえました。 こうした関

第2回 「共創」を目指した証券会社との付き合い方 / プレイドIPOの軌跡

上場承認約1ヶ月前2019年4月5日、丸の内・大手町・八重洲エリアにあるカフェで、午後5時ぐらいからCEOの倉橋と当時の管理担当執行役員と僕の3名で、早々にビールを飲んでいました。 「終わったね…」 「延期するしかないか…」 などと呟きながらも、諦めきれずに 「とりあえず詳しい話を聞きますか?」 ということで証券会社の営業担当の方に来てもらいました。 その時すでに上場承認が約1ヶ月後に迫っており、準備は整いつつありました。ジョイント・グローバル・コーディネーター(Joint

第1回 プレイドの上場準備・審査プロセスについて

はじめまして。プレイドでfinanceチームに所属している小島と申します。 先日CFOの武藤が書いた連載開始のお知らせに続き、僕が第一回を担当します。連載記事は、こちらのmagazineで公開していきます。 大成功に見えたIPO2020年12月17日、我々プレイドは東証マザーズ市場に上場しました。グローバルオファリングを行い、募集・売出株式の海外比率は78%、上場時時価総額は公募価格ベースで600億円を超えました。結果を見れば、大成功といえるIPOだったと思っています。

プレイドの”非常識”なIPOまでの道のり、連載開始

はじめまして。プレイドでCFOをしている武藤健太郎と申します。 2020年12月17日、プレイドは東京証券取引所マザーズに上場しました。 IPO準備は6名の経理・財務・法務からなるワーキングメンバーが中心となりプロジェクトを推進していました。彼らワーキングメンバーに加えて上場を意識しながらプロダクトの開発や業績を達成してくれたプレイドのビジネス&開発メンバー、そしてサポートしていただいた証券会社・監査法人・弁護士事務所他の皆様に、ここで改めて感謝の気持ちを表したいと思いま