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スタートアップファイナンス

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スタートアップのファイナンスやIPOに関するnoteをまとめています。
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#IPO

上場から時価総額10倍以上、1,000億円超!IPO後も大きく成長する企業とは

1. はじめに2024年5月21日、東証から「市場区分見直し後の状況と今後のフォローアップについて」が発表されました。 https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/mklp770000007bcn.pdf こちらの資料によると、グロース市場に上場した会社の新規上場時からの時価総額成長率の中央値は、1.03倍。 49%が新規上場時の時価総額(公開価格ベース)から下回っており、半数近くの会社が

新規上場企業がデットファイナンスを利用している比率は?/2023年新規上場企業のデットファイナンス考察

「目論見書分析note」とは 目論見書分析noteは、起業家、スタートアップで働く方、スタートアップ企業の成長背景に興味がある方を主な読者として、noteを書いています。 「IPO企業は、どんな業績変化をだとってきたのか」 「過去の資本政策でどう工夫をしてきたのか」 など スタートアップ企業に関わる方・興味がある方に、ヒントになる情報を提供させて頂くことを目的としております。 ※記事の内容については個人的な感想となることを理解の上で読んでもらえるとありがたいです。 今

上場して1年、どうだった?IPOのメリット/デメリット 〜noteのIPO連載最終回

noteが上場したのは、今からちょうど1年前の2022年12月21日。 これまで「スタートアップ冬の時代のIPO」と題してnoteの上場準備メンバーでIPOに関する連載をやってきましたが、今回が最終回。テーマは、「上場して1年、どうだった?IPOのメリット/デメリットは?」です。 この記事は、IRアドベントカレンダー 2023 にも参加しています。 まず、一般的に言われる上場のメリット、デメリットとして、以下のようなことが挙げられます。 上場のメリット: 上場のデメ

IPOにおけるプライシングとオファリング

これまでnoteのIPO連載では、上場審査の論点となりやすい内部管理体制や経理体制の構築、事業計画策定などについて触れてきました。それらの審査上重要な項目を一つ一つクリアして、いよいよ上場を2〜3ヶ月後に控えたとき、上場に向けての最後のハードルと言ってもいいのがプライシングとオファリングについてです。 IPOにおける、プライシングとオファリングとは?まず、オファリングとはなんでしょうか。IPOは、Initial Public Offering(新規公開株式)の略なので、オフ

上場審査への道のり。「人」がつくる株式市場の裏側(後編)

こんにちは、ひふみラボ編集部です。 レオス・キャピタルワークス株式会社が東京証券取引所グロース市場に上場して約半年が経ちました。上場後に株主になってくださった方も多いと思います。 このシリーズを通して、これまで私たちを支えてくださった多くのお客様に加え、新たに株主になってくださった方に感謝の気持ちをお伝えするとともに、これから株主になろうと考えている皆様にも「なぜレオスは上場したの?」「上場するってどういうことなの?」ということを知ってほしい。そして株式市場の魅力や面白さを

上場審査への道のり。「人」がつくる株式市場の裏側(前編)

こんにちは、ひふみラボ編集部です。 レオス・キャピタルワークス株式会社が東京証券取引所グロース市場に上場して約半年が経ちました。上場後に株主になってくださった方も多いと思います。 投資信託ひふみシリーズを通して、これまで私たちを支えてくださった多くのお客様に加え、新たに株主になってくださった方に感謝の気持ちをお伝えするとともに、これから株主になろうと考えている皆様にも「なぜレオスは上場したの?」「上場するってどういうことなの?」ということを知ってほしい。そして株式市場の魅力

キャスターが行ったストックオプションの3つのアクションは?/目論見書から読みとくSOの実例

「目論見書分析note」とは 目論見書分析noteは、起業家、スタートアップで働く方、スタートアップ企業の成長背景に興味がある方を主な読者として、noteを書いています。 「IPO企業の業績推移・KPI変化」 「過去の増資、新株予約権発行の状況」 など スタートアップ企業に関わる方・興味がある方に、ヒントになる情報を提供させて頂くことを目的としております。 ※記事の内容はあくまで個人的な感想であることをご理解頂けると幸いです。 それではここから本編になります。 ◼︎

【解説】10月スタート!新しいIPOプロセスが与えるスタートアップへのインパクト

来月(2023年10月)からIPOプロセスが新しくなることをご存じでしょうか。かなりテクニカルだし、正直あまり注目されていないと思いますので、知らない方も多いかもしれません。しかし、大きく日本のIPO、そして日本のスタートアップ・エコシステムをアップデートするキッカケになる可能性を秘めています。今日は、そんな「新しいIPOプロセス」について解説してみたいと思います。 事前に言っておくと、今回18,000文字を超える大作になっています。ただ、難しい話をできる限り簡単に書いたつ

臆病なIPO市場の夜明けはいつか?

2022年初から資本市場が急速に低迷し、ロシア・ウクライナ事情以降は急速なリスクオフモードに突入している。その後の利上げなど金融政策を含めた不透明感も相まって、日経平均だけ見ていると、株式市場は好調じゃないかと思いたくなるが、その実、最もリスクが高いとされるIPO市場、しかもテックセクターのIPO市場はいまだに臆病なままなのです。 2022年初に投稿した株式市場の調整、およびその後のスタートアップへの影響については、手前味噌ながらかなり適切なガイドラインだったかのように思う

IPOにおけるオファリングサイズは極大化させるべきか、極小化させるべきか。

皆さん、こんちには。 2023年もあっという間に上半期が終わってしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか。 IPOに目を向けると、2023年は東証の証券会社ヒヤリングによると90社超で着地しそうとのことで、2020年/2022年水準と同程度となりそうです。 オファリングサイズで見ると、楽天銀行(5838)や住信SBIネット銀行(7163)が牽引し、2021年上半期を上回る水準で推移しています。 USでは既にいくつかの大型テックIPOの承認が出始めていますが、日本でも202

【YCC修正】今さら聞けない、金利と株価の関係、スタートアップへの影響(初学者向け)

7/28(金)、日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正を決めました。YCCは、簡単にいうと金融緩和の一環で日銀が国債を買って、国債の金利が一定以上に上昇しないように操作することです(これがなければ、国債の価格と金利は市場原理で自由に決まります)。YCCは2016年に導入された金融政策ですが、日本国債の金利はインフレ目標を達成するためにYCCによって長らく0%近辺に抑えられていたところ、今回日銀の許容する金利の上限が押し上げられことで、今後金利が徐々に上がっていくの

週末企業分析【番外編】GENDAのIPOに寄せて~ミダスキャピタルグループの投資戦略~

はじめに 2023年7月28日、株式会社GENDA(以下、GENDA社)が東京証券取引所グロース市場に新規上場しました。GENDA社は株式会社ミダスキャピタル(以下、ミダスキャピタル)が運営するファンドが筆頭株主の投資先です。 GENDA社には創業時よりミダスファンドがマジョリティ出資を行い、幅広な後方支援を行ってきました。同社は設立5年で売上高461億円、営業利益42億円、連結従業員数4,164名の規模まで成長し、公募時価総額601億円は東証グロース市場へのIPO銘柄とし

4年で売上10倍以上、赤字から黒字転換でIPO。CFOから見たIPOまでの道のりと今後の成長について

スタートアップの成長と変化、そしてそれが上場企業へと成長するまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。私がCFOとしてアイデミーにジョインした4年前、当社はまだ小さなチームで、売上高も1.3億円で大幅な赤字企業でした。しかし、絶えず挑戦と努力を重ねることで、上場できる企業にまで成長しました。 今回は、私がCFOとして経験した資金調達、財務戦略、上場準備、そしてそれらを通じて得た学びや経験を書きたいと思います。これからもアイデミーは「先端技術を、経済実装する。」という

IPOを通じて実感したスタートアップCFOの存在意義は「Equityの追求」

こんにちは、CFOのnickです。 フーディソンは2022年12月に東京証券取引所グロース市場に上場しました。 私は2016年にフーディソン入社し、その間にファイナンス面ではシリーズBの資金調達、銀行借り入れ、IPO準備を進めました。年間に上場する企業は90社程度あるので、それぞれストーリーが違うと思いますが、個人的に考えてきたことをまとめさせていただきました。 スタートアップCFOの管掌範囲 スタートアップとは便宜的に、VCファイナンスを調達した未上場企業とします。 C