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大間マグロの謎を解く

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「大間まぐろ」のブランドで知られる青森県大間町でクロマグロ資源管理の実情を調べてみました。
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#ヤミ漁獲

大間産マグロのヤミ漁獲、2021年度だけで60トン、産地偽装の疑いも~いまなお全容解明ためらう水産庁・青森県

大間産マグロのヤミ漁獲、2021年度だけで60トン、産地偽装の疑いも~いまなお全容解明ためらう水産庁・青森県

下北半島はIUU漁業の巣窟なのか?

 青森県は19日開かれた県議会農林水産常任委員会で大間漁業協同組合など3漁協の管内で2021年度中に合計59.8トンものクロマグロ漁獲が未報告だったと説明しました。ほとんどが「大間産」として出荷、販売されたものとみられます。

 3漁協とは大間町の大間、奥戸(おこっぺ)の各漁協と、むつ市の大畑町漁協で、いずれも下北半島にあります。下北半島がいわゆる違法・無報告

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マグロ相対売買を隠ぺい、取引データを「その他鮮魚」に偽装~静岡市中央卸売市場の卸売・三共水産

マグロ相対売買を隠ぺい、取引データを「その他鮮魚」に偽装~静岡市中央卸売市場の卸売・三共水産

 データを偽って報告するなんて、公共インフラの一つでもある「中央卸売市場」に事務所を構えて商売する卸売会社がやることではありません。静岡市中央卸売市場の水産荷受け、三共水産は青森県大間のマグロを「その他鮮魚」だと偽って、マグロの相対取引が禁じされていた2019年当時から市場外の仲卸業者に販売していたことがわかりました。そのようにしてまでしてマグロを売ろうとした理由は一体何なのでしょうか?

訂正で

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大間マグロの謎を解く⑥ヤミ漁獲問題を青森県が検察庁と協議~スシローの調査開始が契機か?

大間マグロの謎を解く⑥ヤミ漁獲問題を青森県が検察庁と協議~スシローの調査開始が契機か?

 青森県農林水産部は今年3月17日付で「クロマグロ漁獲量の未報告について」とするメモを作成し、知事ら県庁首脳に回覧しました。問題の経緯と水産庁からの助言内容、それに検討対応案を記しています。

知事らにも報告した文書の内容とは?

 参考資料4枚を含めて計5枚の文書です。うち2枚は漁業法など関連法規の抜粋で、漁業法の抜粋箇所は第30条(漁獲量等の報告)、第128条(漁業監督公務員)、第176条(報

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大間マグロの謎を解く④「捜査官」派遣で未報告が新たに40トン判明か⁉

大間マグロの謎を解く④「捜査官」派遣で未報告が新たに40トン判明か⁉

 2016年には長崎県・対馬、2017年には北海道・松前でヤミ漁獲が発覚したことがあります。当時は水産庁が調査を始めてから1~2カ月後には違反事実の概要を発表し、自治体や漁協に再発防止を約束させました。

 今回、青森県大間町で発覚したヤミ漁獲は、2021年9月から調査が始まっているのにいまだに違反事実が公表されていません。

 大間と対馬や松前との違いはなんでしょう?

 1つは、2018年にク

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大間マグロの謎を解く③漁業法違反を「もみ消す」前科~青森県の指導・監督に甘さ

大間マグロの謎を解く③漁業法違反を「もみ消す」前科~青森県の指導・監督に甘さ

 静岡市中央卸売市場に入荷した大間産マグロは2021年8月、9月の2カ月間でおよそ60トンにのぼります。出荷したのは大間の産地仲買人のS社とU社です。静岡市場の卸2社のうち日本水産が大株主に名を連ねている三共水産に販売を委託しました。

 60トンという数量は大間町の漁業者に認められた年間のクロマグロ漁獲上限量(大間、奥戸の2漁協合計で約270トン)の2割超にあたります。

時期は夏場です。年末・

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大間マグロの謎を解く②ヤミ漁獲の疑い、青森県は任意調査を9月に開始

大間マグロの謎を解く②ヤミ漁獲の疑い、青森県は任意調査を9月に開始

  2021年9月14日午前11時、青森県むつ市の県農林水産部むつ水産事務所で「クロマグロ漁獲報告に係る任意調査」に関する打ち合わせが開かれました。

 出席者は県庁でクロマグロ資源管理問題を担当する水産振興課の竹谷裕平・栽培・資源管理グループ主幹、同課所属の漁業取締船「はやかぜ」の小野晶広・2等航海士、むつ水産事務所の相坂幸二・水産課長、同じく高橋宏和・普及課主査の4人でした。

 打ち合わせは

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大間産マグロの謎を解く①規制お構いなしの過剰漁獲?豊洲だけで2021年は190トン超の出荷

大間産マグロの謎を解く①規制お構いなしの過剰漁獲?豊洲だけで2021年は190トン超の出荷

 東京都中央卸売市場・豊洲市場から2021年(暦年)中の青森県大間町からのクロマグロ出荷に関するデータを取り寄せました。都の情報公開制度を利用して関係文書の開示を請求したもので、手続きをすればだれでも入手可能なデータです。

 開示された資料を分析したところ、2021年1月から12月までの間に豊洲市場に出荷された大間産マグロの総量は2210本、196トンという結果になりました。このうち管理年度が異

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大間産まぐろ「ヤミ漁獲」~水産庁・青森県はなぜ告発を躊躇しているのだろうか?

大間産まぐろ「ヤミ漁獲」~水産庁・青森県はなぜ告発を躊躇しているのだろうか?

出荷業者から情報提供得られず
「海産物を取り扱う事業者として、水産資源のサステナビリティを担保しなければならない立場であるにもかかわらず、漁獲枠内であることの確認が十分にできていなかったことは有ってはならないことと認識しております」

 回転ずし大手のスシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIES(以下、フード社と省略)が3月31日夕、「食材に関するお知らせ 続報」と題するプレスリリース

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