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火星ナツミ
2022年4月20日 20:37
だし巻き卵に騙されたアカペラ歌手が歌ってた涙の塩味効き過ぎてしょっぱくて涙が出たと赤色のガーベラは歌うそばかすなんて気にしないわ鼻ぺちゃだってお気に入りよ可愛らしい小さなガーベラはしょっぱい卵に騙されて根っこから花びらの先まで斑点だらけかすれた声で歌ってるそばかすなんて気にしないわ潮風に晒されて1ひら1ひら消失してゆく赤い花毛の抜かれたブロイ
2022年4月4日 17:12
顔すら思い出せないのに音だけが耳から離れない絞め殺された黄昏の断末魔によく似たあの人の名澄んだ茶色の瞳は空間を切り裂く線香花火に囲われた晩夏の太陽いつも火薬の匂いがしてた偽りの記憶が立ち上げる見ず知らずの男手の甲にあるのはアルタイルわし座のかたちそのものでそこに流れる天の川にleap of faithしたかったできなかった心残りだけが宙に舞い
2022年3月29日 16:45
厳かな雨音 波紋広がる 四畳半の神殿で産まれた夕焼けと夜空の間の子微弱な陽光 柔らかな影そこから抽出された 一滴のいのち赤と黒朽ちる間際 揺れる視界最後の閃き 火花散る オレンジ濃縮した草の匂い 辺りに立ち込める願いが そこに詰まっていた
2022年3月27日 18:17
不躾に吹き抜ける風があの子の匂いを運んできたメロンパンの匂いのする髪の色強気な無知と無知からの劣等感が香ばしい格子模様を描いている彼女の口癖は”しょうがない”仕様がない使用がない枝葉がないどれかはわからないけれど絶望していることはわかるコンプレックスの結晶で化粧直しした彼女は残雪のようにまばらなお粉が不細工でそっと舐めると甘くてキンと痛い大袈
2022年3月21日 16:39
腕が痺れて目が覚めたしんしんと指先に残る小波の残響を聞きながら薄暗さと仄明かるさがスウィングする隙間を怪盗の足取りで駆け抜ける何十回も異世界への扉を開く私は鏡の国アリス読んだことはないけれどそれでも腕に乗った小さな毛の塊はチェシャ猫のようでなんとなく頭がクリアになった
2022年3月5日 15:52
しゃっくりが出るようにあの人の名前が飛び出てくる身体の奥底から湧き出る原子のカケラたち喉をくすぐる連なりが音に変化しビートを刻む心の誤作動から生まれるのがしゃっくりなら痙攣する横隔膜は心で言うとどの辺りになるのだろう沸騰するお湯によく似た粒だった痙攣もしこれと同じようなものだとしたらいつか蒸発して何も無くなる日が来るはずだ行き場を無くした熱がコロコロ笑う空焚
2022年2月26日 20:35
ふみえって良い名前だねどう漢字で書くのおかっぱ頭の彼女は徐ろにCampusを開いたペンを持つ歪に丸めた手のカタチが小動物の赤ん坊のように生々しくて身体の奥底がかつんとする涙を堪えた時の鼻の奥と同じ痛い踏絵よいつのまにか顔をあげていた彼女は目と眉の間が近くフランス人形のようだった目と眉はお互い惹かれあうようにどんどん近づいていった2つは入り混じ