1122を見終えた夜に短歌25首
すきだよと言うなら君のこれからをください花や時計じゃなくて
今晩はクリームシチュー幸せは銀河を創るような手つきで
今日撮った虹送ります隣には貴方がいない朝のことです
不器用な彼の指にて作られる正攻法では飛ばぬ折鶴
キスだけじゃ分からないよね私なんかサボテンすらも枯らしちゃったし
いい女と思われてたい塩鮭の綺麗に焼けた方をあげるね
ふつうがいい望んだ途端遠のいてきらきら空で輝く不思議
幸せに暮らしたという姫様のここから先は誰も知らない
水っぽい感情ばかり満ちている伝えぬ好きはやがて気化する
知らぬ人 マイナス12センチまで近づいて尚まだ知らぬ人
朝の端散らかっているテーブルにタルトタタンの居場所をつくる
AVをなぞった前戯仕方なく角度のついたキスで応じる
ごめん仕事で行けないとLINE来て瞼の上のキラメキが死ぬ
ちょっとくらい糸のほつれがあったって捨てる理由にしないでほしい
旧姓を畳み仕舞った引き出しに選ばなかった人生が在る
取り敢えずビール頂戴そうやって私のことも選んだんでしょ
骨までも綺麗に食べる鈍感さ連絡せずに逃す終電
謎多き世です例えば嫁の字が「責任転嫁」に含まれてたり
云々はどうでもよくて裏向きに置いたスマホの話しようよ
桃みたくそっと触れてね悪意あるデュクシばかりの世の中だから
利息分だけを返してくみたいに君に別れを告げぬ愚かさ
波平も浮気くらいはしただろう見て見ぬふりを覚えた立夏
脱いだまま死んだ靴下片さずにそっと別れの秒読みをする
タオルすら捨てどきを見誤る人が事務処理みたく告げるさよなら
お揃いの部屋着は2着とも捨てた孤独じゃなく独立と呼んで
1122を見終えた夜に
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