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大学で教える価値共創のためのプロモーション

デザインリサーチャーの浅野です。非常勤講師として、3、4年生を対象とした演習『プロモーション』という毎週2コマの授業を担当しています。あっという間に3年目となりました。僕自身、さまざまな大人の影響を受けてこの職を選んだこともあり、教育への貢献はライフワークとしています。

僕のキャリアをご存知の方は「広告代理店で働いた経験もないのにプロモーション?」と思った方もいると思います。いわゆる広告やPRといったマーケティング行為を指すことの多い「プロモーション」ですが、単語の成り立ちを見てもわかるように、pro- 前へ + motion 動きという、何かしらの活動を前進させるための行為を指しています。そのため昇進や促進といった意味もあります。

そこでこのお題を受け取ったときに、プロモーションとは新たな時代の価値観のために生活や文化などの変容を促す営為であると仮説立てることにしました。すると、デザインリサーチの業務プロセスである、定性的なユーザリサーチやワークショップ、物語や物事のプロトタイピング、ユーザビリティ評価やヴィジュアライゼーションも「プロモーション」行為であると言えそうです。

しかし、読み替えることはできても何を演習で教えるのかというのは別ものです。受講するのは音楽やファッションを学ぶ学生たち。アーティストやクリエイターを目指すばかりではないということもあり、音楽やファッションに関わる中で、どんな未来を目指して、何をしているのか「自己紹介」ができるようになろうと目標を定めました。

自己紹介をする文章の型やリサーチのフレームワークなどを講義と演習で繰り返し体験していきます。前半は自己との対話を繰り返し、内なる動機に触れ、現在地を理解することを目指します。中盤からは、ケーススタディを通じて利害関係者との価値共創を学び、サービスデザインのアプローチを用いて身近な事業の理解と新たなサービスを実現するための事業構造やつながりを描く体験を演習でおこないます。

誰かとともにおこなうサービスの実現に必要な連環を考えることで、「自己紹介」を通じて学生自らが活動の輪を広げるために必要なことを掴んでもらうことが狙いです。ここでようやく自分と社会との関係を思い描けているのかなと思います。ほぼ毎週のように自己紹介の文章を書き直し続ける学生たちですが視点の変換が生まれたかもと感じますね。

ここまでが中間課題でおこなうことです。最終成果では2050年の未来をグループワークで夢想し、自身の専門性を活かした架空の職業を考えて、未来の自分になって自己紹介をしてもらいます。架空の環境やそこで活動する自分を思索することは簡単ではありませんが、いろんなワークを通じて進めていきます。そこでも大事にしているのでは、誰とともにその活動をおこない、自分はどのように振る舞っているのかを具体化することです。自己紹介という行為を拡張し、未来を想像して、誰かとともに価値ある事業を進める手法として取り入れてもらえたらうれしいですね。

いずれ授業のステップをもう少し詳しくまとめようと思います。興味ある方がいましたらいいねまたはフォローお願いします!

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