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60歳で整形しましたが何か? その6(最終回)

抜糸はまったく痛みなし

 術後3日目までは痛みが強く、ずっと目を冷やしていました。仕事や家事をする気にもなれず、ほぼ横になっていました。
 ようやく痛みが治まってきた1週間後、抜糸の日がやって来ました。これまで虫垂炎、人工股関節置換施術の経験があり、抜糸の痛みは経験しています。まあ、どんな痛みも出産に比べれば大したことはありません。痛みなんて怖くない、縫合した傷跡が引きつった感じがするので早く抜糸をしてもらいたい……そんな気持ちでクリニックに向かいました。
 クリニックに到着するとすぐ部屋に案内されました。手術した部屋と同じ部屋です。たった1週間前に二重に変身させてもらった部屋です。このクリニックは大手だけに患者を待たせないというマニュアルでもあるのでしょうか。入室して5分も経たないうちに看護師がやって来ました。仰向けになり、抜糸してもらいます。想像していたよりも痛みがなくすぐに終了。ダブルチェックが必要とのことで、別の看護師がやって来て糸が残っていないか確認してくれます。写真室で全方向から撮影して終了。鏡を覗くと、まだ糸の跡が残っていて見た目には変わりがありません。でも、後は快復に向かうのみ。気分良くクリニックを後にしました。

2カ月経過でようやく違和感なくなる

 術後1カ月はなんだか瞼が重くて他人の目のように感じました。特に朝目覚めて目を開ける時は違和感たっぷり。顔を洗う時も怖くてバシャバシャ洗うことはできませんでした。片目を閉じて鏡を見ると、生来の奥二重のラインがくっきりと主張しています。しかし、目を開くと奥二重の強いラインは新しい二重により瞼の内側に格納され、くっきりとした二重になります。術後は大きすぎる幅に不安がありましたが、奥二重に負けないようにデザインしてくれたのだとわかりました。
 違和感がなくなったのは2カ月経過した頃です。術前よりも確実に視野が広がり、読書する気力が湧いて来ました。半年前に白内障の手術をしたこともあり、気が付けば作ったばかりの老眼鏡を必要としなくなっていました。これは思ってもいなかった収穫でした。

術後1カ月。傷跡が目立ち左右アンバランス。失敗?と不安になる。
術後2カ月。完璧な平行型二重に。すっかり落ち着きました。

60歳なのに整形したわけ


 今回、有難かったのは身内からの反対意見がなかったことです。パートナー、息子、そして姉たちもエールを送ってくれました。ただ、姉からの一言には異議がありました。
「うらやましいけど、私はもういいわ。この年になって男からモテようとは思わない」
ん? オトコ?
 この言葉には違和感を覚えました。そんな目的はまったく頭にないからです。
 私には入籍こそしていませんが、連れ添って17年のパートナーがいます。毎日、溢れるくらいの愛情をくれるので喧嘩する材料もありません。これから外見を武器に男性にモテようなんて気持ちはまったくありません。この姉の一言をきっかけに、どうして60歳にもなって整形したのだろうと気持ちの整理をしてみました。
 理由は自分自身の内面にあると結論が出ました。ふだん意識はしていませんでしたが、心の奥底にいつも重い錘(おもり)を抱えて生きて来たのだと。これは他人にはわからない苦しみです。日本人として典型的な奥二重に生まれ、化粧でなんとかごまかして来た日々はつらくて惨めでした。特に最愛のパートナーから目付きが悪いと言われてからはその傷が広がってしまいました。
「キモっ。ババアが今さら整形してどうするんだ」
と思う読者もいらっしゃるでしょう。
 そう思われて当然です。でも、敵は外ではなく私の心の奥底に存在していたのです。それをやっつけて何か迷惑かけましたか?とちょっと過激なタイトルを付けました。
 60歳となった今になって美容外科の技術の発展と出会い、残りの人生を過ごすにあたりぎりぎり間に合った……そんな感覚です。ほんの少しの勇気と高額な出費が必要でしたが、残り少なくなった人生を明るく前向きに生きていく力をもらえました。
 もし、整形することに対して悩んでいる方には一年でも早く実行することをお勧めします。私は整形手術に対して全肯定します。
 最後に美容外科業界の皆様へ一言。ここまで心の闇を解決していただいて感謝しかありません。しかし、もう少し価格を抑える努力をお願いします。若い人たちが少しでもコンプレックスを消し去り、明るい人生を歩んでもらいたら……と切に願います。

加工して遊んでみました。30代に戻った気分!



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