【小説】神社の娘(第8話 向日葵と葵、バケモノを倒す)
楽しいバイクの時間はあっという間だった。
森の南口、つまり森の入口付近に到着し、バイクを茂みに隠した。
周りに人がいないことをよく確認してから徒歩で森へ向かう。葵が先頭に立ち、桜もそれに続く。
二人から少し離れて、橘平と向日葵が歩いていた。
向日葵は橘平の肩に手を載せ、顔を覗き込みながらこっそりと話しかける。
「ねえ、きー坊」
派手な声とは打って変わって、静かで艶のある「大人」の女性の声だった。
普段からは想像できない彼女の意外な一面に、橘平はドキリとする。