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1月1日が今のわけ〜人がつくったカレンダー

1月1日はどうして今なのか
一年のはじまりというけれど
天体とは全く関係ないスタートだからと、
毎年思う現代のお正月
2024年初めの配信はそんなお話です。

よかったらおつきあいください。

2024年がはじまりましたが
まずは石川県での地震の被害にあわれた方に
お見舞い申し上げますとともに
はやくおちつきますように
心からお祈りしています。

こんなことをいっては不謹慎と言われるかもしれませんが
世の中が元日だからとかいろいろいっても
自然には関係のないことですね。
もう25年以上まえですが
元日に親族が亡くなったことがありまして
その時も当たり前ですけど
人の生き死ににも人が決めたカレンダーなどは
本当にあたりまえですが全然関係なく、
ただ日が昇り沈む一日であり、
それが繰り返されるだけだとあらためて思ったことがあります。

でも、もしこの日に生まれた、赤ちゃん誕生となると
実はとてもおめでたいときっと意味づけをするのだろうと
思ったりもしますが、人はいろいろ勝手なものです。

そんなこともあり、
なぜこの時が一年のはじまりと設定されているのかなと
調べようと思ったことがあります。

今日はそれをお話しようと思うのですが、
専門家ではなくて資料も諸説ありなので
「そんな説があるらしい」としてご覧ください。

星読みや時を読むものとしては
暦は欠かせないものなので特に気になるのです。

音声での配信はこちらから


グレゴリオ暦

今わたしたちがつかっている暦はグレゴリオ暦です。 
これにより「新年ですよ、今日が1月1日ですよ」と言っています。

ただこれは、例えば太陽が春分点を通る日でもなく、
太陽の高さが一番高くなる夏至でもなければ
一番低くなる冬至でもない、
新月でもなければ満月でもない
つまり天文学上の理由があってこの日になったわけではないのです。

これは個人的な考えですが
自然に沿うのではなく人が自然をコントロールできる、
一番優れた存在であるとしめしたがる人間の仕業だなと思うのです。
人の都合で出来た仕組みです。

時と言うのはとても不思議です。
季節がそれを教えてくれたり
月の満ち欠けや星の動きなど
人の力が及ばない所のものが教えてくれるものだと思うのですが
それを人の都合で、人が使いやすいように変えている
これが今のカレンダーや時間と言う物だと思います。

だから自然の流れではない、更には、
ある一定の土地での習慣や力ある人の決定により生まれたのが
この1月1日だなと思ったりするのです。

また、日本にこのグレゴリオ暦が持ち込まれたのは明治時代のことです。
それまでは太陰太陽暦でしたから、基本は月の満ち欠けと共に暮らしていました。多少、日にちや季節がずれたりもしますが、現在も中国や東南アジアで使い続けられている旧正月です。

ちなみに今も、ヒンドゥーの暦は春分を大切にしていますし
ユダヤ暦とかイスラム圏も、それぞれの暦があり、
宗教上のこともあるのでしょうけれど、
どこもかしもがグレゴリオ暦の1月1日が新しい年のはじまり、
祝日としているわけではありません。

グレゴリオ暦を生み出し、定めたのは西洋です。

元々は3月はじまりだったヌマ暦

ただこのグレゴリオ暦にも変遷があります。

それ以前の暦として、古代ローマ時代、紀元前8世紀ごろ
ロムルス暦が作られた記録があるそうです。

ただこのロムルス暦、現在のモノと大きく違うのは
今の3月から始まっていたそうです。
そしてだいたいひと月に30日程度、それが10カ月だけ、
つまり今の12月までしか日付がない暦でした。
カレンダーとして書くならば、今の3月が1月となり
今の12月が10カ月目ですから、ここでおしまいの暦です。

では現在の1月から3月までの二ヶ月はどうなったの?というと
カウントされなかったそうです。

暦が作られたのはローマ、つまり北半球でのことですから、
3月は春、今と同じく暖かくなるころでした。
そこから農耕が始められるようになったり、
種つけなが始まる時期だったから、新年、これはよくわかる気がします。
天体そのものにではありませんが、自然の季節の変わり方に沿っています。

ただ、一部には、「この時期のこのあたりで丁度はじまりにする」と、
王がその年の最初の日を宣言していた、という説もあるようです。

ともあれ、今の3月からはじまり、
December(10番目の月、という意味)で終わり、
あとは日付がない日々が続く暦、
冬のこの二ヶ月は、閉ざされた冬であり、
農耕もできないから、日付も必要ない、ということだったそうです。

ただその後、それも無理があるでしょうと、
ローマ王ヌマ・ポンピリウスが新たに「ヌマ暦」を制定しました。

これによりJanus(現在の1月January)とFebruarius(現在の2月February)という2つの月が追加され、1年は12か月になりました。

けれど、この時もまだ今の3月はじまりは変わらず、
Janus(現在の1月)とFebruarius(現在の2月)が
11月と12月、つまり今の2月が一番最後の月
ということになりました。
そしてこのヌマ暦がしばらく使用されていたそうです。

しかしその後、この暦も変わっていきます。

ヌマ暦の改革

紀元前153年のことでした。
今の3月が新年だった「ヌマ暦の改革」が行われ
ヌマ暦の11月を1月とする順序変更が行われたそうです。

なぜそうしたのかについて伝わる理由の一つとしては、元々追加された
11月だった「Januarius」という名前がポイントだったそうです。

このJanuariusは、ローマの門の神Janus(ヤヌス)を称えて命名されたものでした。Janusは行動のはじめをつかさどる神であったため、
「このJanusの月が年初として、もっとも相応しい」と、
変更をしたという説です。

また更に、この暦をつくったヌマ王の業績の一つが「ヤヌスの神殿」を作ったことなので、その功績をたたえてというと説です。
ただこれも神殿というでけでなく、神殿には特別な役割があったそうです。

ヤヌスの神殿は「戦争の門」と呼ばれ、平和な時にはこの神殿は閉められ、戦争が始まると開かれたのだそうです。

そして秩序を大切にしたヌマ王が統治していた43年間は、なんとこの門は閉じられたままだったそうです。つまり平和だったということです。この功績をたたえたということです。

争いによる変更説

ですが、まださらに別の説も伝わっています。

実はこの当時は、執政官の就任する時が1年のはじめと決めていたそうです。ローマ共和制時代の最高指導者を執政官とよんでいたらしいのですが、
おそらく3月頃に「今から一年ですね」と就任式をしていたのだろうか、と
勝手に想像しました。

これも、先にあげた王が「今から新年です」と宣言するシステムと
そう遠くはない説だとも思いますが。

ところがここからが急展開、
この頃、今のスペインに相当するヒスパニア地方で
大反乱がおきたそうです。

そこで、この反乱を鎮圧しなくてはいけないローマは、まずは現地入りしなくてはと思ったようです。しかし、現地にたどり着くまでは、ひと月以上はかかる距離だったそうです。

詳細は調べてもなかなか出てこず、わからないことが多いままですが、
ともあれ、この説では、そんな理由で執政官を早く決めなくてはいけない、
ということになりました。
そこで、通常より2か月ほど早く就任式を行ったそうです。

つまり、今の3月はじまりから2カ月はやめたらJanuaryだったから
その年のはじまりがJanuary、当時の11月であり、今の1月です。

そして勿論、就任した時がその年のはじまりですから
このJanuaryがこの年のはじまりになった、
つまり1月になったということです。

そして、この氾濫が収まるまでには20年もかかったそうです。
ですから、その間中は1月はじまりの年がそのままとなり、
それが定着してしまって、
今もJanuaryが年のはじまり1月であるという説です。

これはなかなか面白い説だと思います。

勿論、真偽は解りませんが、何にせよ、
人の事情で今が1月としてその年のはじまりになったわけです。
自然に関係ないどころの騒ぎではありません。

それに、当たり前ですがこれを定めた人たちによる暦、
それを支持する人たちによる新年でしかない、ということが
あらためて感じられます。

ですから、いろいろな暦をもっている各国の人がいたり、
その時々を彼らの事情や理由で大切にする人達がいて当たり前であり
どこでもが新年ではない1月1日、それをあらためて意識したいと思います。

日本での改暦

そして、現在私たち日本人がつかっている暦は、このように定まった歴史を持つグレゴリオ暦、日本より遠く離れたところで定まった暦です。

明治維新(1868)により樹立された明治政府が、西洋のやり方や制度を導入、近代化を進めようとしたため、先に記した理由で決定された暦に替えられた、ということです。

明治政府は明治5年(1872)の11月に太陽暦(グレゴリオ暦)への改暦を
を発表しました。そして明治6年(1873)、今までの太陰太陽暦から、現在と同じ太陽暦となりました。

実際はまだ151年程度の歴史です。それも経済や諸外国とタイミングを合わせる、近代国家として肩を並べるという以外に、特に理由がない、
そんな気もします。

ですから、ちょっとひねくれた物の見方かもしれませんが、
言ってしまえば、よくお正月前に耳にする元日の決まり事も、
実は何の根拠もない日に対して、あれこれ言っているとも
取れなくもありません。

「1月1日だから歳神様がきてくれるから、家の中をこうして…ああして」
「お正月には、これはしてはいけないから」というのも、
その日であることは、あくまでも人が決めて、勝手にそんな日だと設定しているに過ぎないともいえると思います。

土地の氏神様と言われる神様も
「なんかしらんけど、この日にみんな来るのが習慣になっている」と
苦笑いで迎えてくれているかもしれないし、
「そんなに準備するなら、この日にみんなの家に行ってあげた方がいいのかな?」と、神様が人の都合にあわせてくださっているかもしれない、
なんてことを考えたりします。

でも神様が自然と同じであった時代とは違い、
これも、人が自然を制御しようとしたり、
神といいながら、何かしら都合よく利用しているようにとれなくもない、
そんな気もします。

また、時々思うのは、
「1月1日の日の出は特別きれいだ」とか神々しいとか、
いろんなことを耳にしますが、それも人が作った日でしかないので
本来はまったくいつもと同じ日の出のはずです。
ただ、年末年始のお休み社会活動がとまるから空気が綺麗で
本来の自然の姿に少し近づいてくれているお陰かもしれないし、
見る側が「清らかに見たい」と思ってそのようにみるから
そう感じられるのかもしれません。

1月1日だからそうなるのではなくて
人が自然に従うからそう見えるのだろうと思ったりもします。

冥王星の移動が今年だからこそ

今回、年始にこのような話をしたのは
現実の出来事のお陰でもありますが、
同時に、「人が作ってきたものを当たり前だと思いこみ
そこに従っていた時代が終わろうとしている」時だからかもしれない
と思っています。

勿論、冥王星が水瓶座に移るからといっても、
その目印にしている星座の場所も、
本当の所をいえば、名前をつけられた同じ星座の場所にはないし、
大昔からいえば、春分点さえずれているので
厳密にではないのですが、
これらもふくめて、動いているという点で、
伝統を使いながらも、
縛られない時へ向かうのだろうと感じています。
そしてだからこそ、より自然の流れや力を感じていきたいと思っています。

とはいえ、何かきっかけがあった方がいいな、というのも
わかりやすくてよいとは思います。
ですから、人がつくった新年でも、良い方向に使わせていただきましょうと
いうのも良いと思います。

気分一新、何であれよくなるならば、それはそれだとも
勿論、思っております。

ただ同時に思うのは、無理にここに合わせなくても
それぞれのタイミングを大切にしてもよいということです。

そしてわたしは、カレンダーがあたらしくなってもならなくても
いつでも皆さんが穏やかにすごせますように、心からお祈りしていますし、そしてその旅に同行させていただきます。

これからも、どうそお気軽にお声かけください。
本年もよろしくお願いいたします。

金泉寺の倶利伽羅龍王

追記〜各月の由来説

音声配信はこちらから
https://stand.fm/episodes/65981d0f803dd2f396ace5c9

1月 Januaryローマの言葉でヤヌアリウス、ローマ神話の出入り口と扉の神である「ヤヌス(Janus)」

2月 ローマ神話の贖罪の神「フェブルウス(Februus)」

3月 Marchはローマ神話の軍神である「マルス(Mars)」

4月 Aprilは、ギリシャ神話の愛と美の女神である「アフロディテ(Aphrodite)」またはラテン語のAperire(アぺリレ)「開く」

5月 Mayはローマの名誉と尊敬の神で、軍神バルカンの奥さんでもある「マイエスタ(Maiesta)」またはギリシャの春と豊穣の女神で、全能の神ゼウスの奥さんでもある「マイア(Maia)」からとする説

6月 Juneは結婚を司る最高神の女神で、全能の神ゼウスの正妻である
「ユノー(Juno)」ギリシャ神話のヘラ

7月 July  5番目の月だった為「5番目」を表す“uintilis”から来た説と、
ローマ皇帝の「ジュリアス・シーザーもしくはユリウス・カエサル」の生まれた月だったから、または暗殺後に彼に対する敬 意と畏怖を込めてJulliusから取った、という説

8月 Augustは6つめの月を意味する Sextilisと呼ばれていたが、初代ローマ皇帝である「アウグスティヌス(Augustus)」に敬意を表して変更した説

9月 September 7を意味する “septe”=ギリシャ語で「ヘプタ」(hepta)
  例「ヘプタゴン」=7角形

10月 October 8を意味する”octo”=ギリシャ語で「オクタ」(octa)
  例「オクトパス」「オクターブ(音楽の8音のひと塊)

11月 November 9を意味する“nove”=ギリシャ語で「ノナ」(nona)

12月 December 10を意味する”dece”=ギリシャ語で「デカ」(deca)
  例「デカスロン」=十種競技 「デカメロン」=10日物語

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