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原点の絵本①「カロリーヌとおともだち」

一番遠い記憶、子どもの頃好きだった絵本はありますか?
自分の原点のような本、今日は少し前にやっと見つけて
再度手にした、私の思い出と今へのお話です。

子どもの頃に好きだったものや褒められたもの、
得意だったものは
大人になっても自分を助けてくれると言われます。

今の私をつくってくれて、私を豊かにしてくれた気がする
そんな絵本のお話です。よかったらおつきあいください。

先日も少し書きましたが、
Standfmで、子育てパパさんとコラボライブをした際に、
読書術研究家のパパさんに小さい頃の思い出の本は?と
聞こうと思い、はて、では私は?、と思った時、
すぐに思い出した本があります。

それは「カロリーヌ」シリーズ。
ご存知の方いらっしゃるでしょうか?

現在は1話1冊になっていて、
少し絵のタッチが変わっていますが、
まだちゃんと出版されています。

ただ私が持っていたのは、4話が1冊になった
小学館の「世界の童話シリーズ」の中の2冊でした。

この世界の童話シリーズは
他に、イソップやグリムや日本の神話などもあったようです。
けれどなぜか、うちにあったのは
「カロリーヌとおともだち」「カロリーヌのせかいのたび」の2冊だけ。

しかも同じカロリーヌシリーズはまだあって、
「カロリーヌとおともだち」の次が「カロリーヌのつきりょこう」
ちょうど人類が月面着陸をしたころだったのかもしれません。

更にその後「カロリーヌのせかいのたび」の次に
「カロリーヌのぼうけん」があります。
でも、この2冊は持っていなかったのです。

今思えば、私が好きそうなものを
2冊だけ買ってくれているような、と思いました。
が、もしやこれは、逆に、
これを与えられたからこんなことが好きになったのか、
どちらが先だろうなどと思ったりもします。

もう遠い昔になくしてしまった本でした。
それでも時々、検索をかけては中古が出ていないかとさがしていました。
けれどずっと良いものがなくて、かれこれ10年ほど。

でもそれが、この子育てパパさんとのコラボする日のお昼、
お盆のさなかに、適正価格の物に初めて出会い、
2冊とも手にすることができました。これもタイミングですね。

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その時のことをつづった記事はこちら

作者と登場人物紹介

さて、この本、どんな内容だったかといいますと
作家はフランスのピエール・プロブストさん。
元々絹織物の下絵や広告図案、商業写真の修整などを
お仕事になさっていた方。

今と違って写真の修整も手書きですね。
その腕や濃やかさもあるからでしょうか、
とにかく絵が細かい所まできれいで可愛く描いてあり、
隅から隅までずっと見ていられます。

その彼が自分の娘のシモンヌちゃんが5歳になった頃
いい絵本を見せたいとおもってお話をかいて、絵もかいたのだそうです。

音声配信はこちら

そして登場人物は
みんなの中心にいるカロリーヌ。
黄色の髪を下の方でのツインテール、
赤いオーバーオールで登場します。
元気でみんなの面倒をよくみて、結構大胆に冒険します。

お友だちは8人というか8匹
くろいこねこ⇒ノアロー
しろいこねこ⇒プフ
ひょうのこ⇒ピトー
ライオンのこ⇒キット
黒と白のこいぬ⇒ボビー(ビーグル犬っぽい)
ちぢれげのこいぬ⇒ユピー(コッカ―スパニエルっぽい)
くろいこいぬ⇒ピポ(ヨークシャテリアっぽい)
こぐま⇒ブム

その時々の表情や姿が、
またみんなとても可愛いのです。

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このカロリーヌとおともだちには
「たのしいドライブ」「うれしいなつやすみ」「ゆかいなカウボーイ」 
「げんきですべろう」の4話がはいっています。

1話目 たのしいドライブ

クラシカルなオープンカーを
クロネコのノアローが運転します。

途中でタイヤがとんだり、周囲に迷惑をかけたり、
いろいろあるのですが
なんとか目的地の湖のほとりにつきます。
そこでテーブルを出して、ソーサー付きのカップまで並べて
コーヒーを入れて飲んでいる絵がありました。

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「お外に車ででかけて、その時にテーブルをもっていくの?」と
3~4歳児の私はびっくりと同時に
「これやりたい」と思ったのでした。

2話目 うれしいなつやすみ

このお話ではみんなでキャンプにでかけます。
なつやすみサマーキャンプと言う感じで
キャンプ場には他に大人の先生もいたりします。

このお話で印象的だったのは、まずは朝ごはんのシーン。

みんなが、おわんに入った何かまた何かをつけて食べているのです。
それらが何なのかが、まったく意味が解らなかった3歳児でした。

今はわかります。そして改めて確認もしました。
フランスの作家ですから、それも当然だったのですね。
カフェオレボールにクロワッサンを浸して食べている絵でした。

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今回一つ目の納得でした。

そして当時、不思議だったページがありました。
そこでは「風邪をひいているようだ」といわれた犬のボビーが
医務室のような所で横になり、
背中に謎の透明の瓶のようなものをつけられていました
まったく初めて見ました。
今はわかります、吸い球、カッピングだったのです。

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更には、ボビーは体温計を加えて計っています。
これにもびっくりの子ども時代でした。
今は大丈夫ですが、昔は体温計は水銀が使われていて、
くわえたりすることはありませんでしたから。

そして夜になって枕投げのシーンがでてきます。
そこにはみんなが楽しそうに枕を放り投げていますが
周りには鳥の羽根がたくさん飛び散っているのです。

「まくらから、鳥の羽根?なんで?」と親に聞きました。
そうです、我が家の枕はそば殻でした。
そんな枕があるのかとこの時初めて知りました。

こんな風に初めて知ったことが既にたくさんあるのですが
実はメインイベントといってもよい気づきや感動は
更にここからでした。

3話目 ゆかいなカウボーイ

今回あらためて、全く記憶もしていなかったのに、
今に繋がっていたのだなと、改めて感動したのは、このお話でした。

まずはじまりのページでは
カロリーヌが、おじさんのジムの牧場に遊びに行くために
「車でいくか、馬車でいくか」を
みんなで相談しています。

そのみんなの後ろには
「あかいたにえき」と言う駅舎が描かれています。
そして線路には列車がとまっています。

そして、そのヘッドマークの場所には「SANTAFE」
そこだけアルファベットでかいてありました。
ええ~?サンタフェ!?そんなにリアルだったのか
今回ひとつめのびっくりでした。

そしてそのびっくりのままに、ページをめくりました。

既におじさんの牧場に到着、
乗馬をするみんなの絵があります。
馬の上にのせられた鞍はちゃんとカウボーイ用のものです。
それも昔は知らなかったでしょうが
正確な描き方だったのだなと、また感心しました。

そして夜にはキャンプをして炎を囲み、
そのまま野営のようなことをしているカロリーヌとおともだちのみんな。

その時、ここでは時代でしょうが、
まだ「インディアン」書いてありますが
ネイティブアメリカンの子どもたちが、
一足先に寝ようとしてたプフとボビー(猫と犬)を誘いにきました。
そして2匹は彼らについて遊びにいってしまいました。

朝になって2人がいないので、みんなで探しにいきます。
そこでページをひらいてもうびっくり!!

「プエブロだったのかああ!!!」と声に出してしまいました。

忠実に描かれていると思います。鳥肌ものでした。

私は、この風景の前でネイティブアメリカンの女の子が
背負子のようにしてボビーを背負っている絵を
はっきり覚えていました。

「赤ちゃんごっこをして気持ちよさそうにおぶわれていました」
文書があります。

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なぜ覚えていたかというと、我が家にもありましたが
日本のおんぶ紐だとお母さん側に顏が向くのに
これは後ろ向きで背負わされていたので、面白いなと思ったのでした。
そしてこの背負子は随分可愛いなとも思いました。

でもその背景に描かれているその場所が
現実にあるなんて、しかもそれがどこであるかかなんて
当時の私には特定できるはずもなく、
もし親が説明していたとしても、多分忘れていたことでしょう。

ネイティブアメリカンの文化、各地のトライバル文化など
何十年も前から、ずっとずっと興味を持っている私です。
勿論、このカロリーヌシリーズにネイティブアメリカンが出てくることも
覚えていましたが、その原点はリアルなものだったのだと発見して
それはそれは喜んだのです。

そこで、あまりにうれしくて、わたしはこのページの絵を写真にとって
今回の音声配信より一足先にinstagramにあげました。

そうしたら、最近コラボライブもさせていただいた
ネイティブアメリカンの旦那様とナバホでくらす
Ina Sinさん(チャンネル名:ネイティブアメリカンにまつわるあれこれ)が
コメントをくださいました。

「女の子が背負っているこれ、
クレイドルボーンといって
サウスウェストのネイティブアメリカン
赤ちゃんを守るために使っていた
そして今も使っているやつです」と。

なんだかとても不思議でした。
今、直接、そこに近い暮らしをしている人から
こうして教えてもらえるのよ、あなたは!と、
あの頃の「このしょいこかわいいな」と思っていた
ちっこい私におしえてあげたい、
そんな風にも思いました。

ちなみにプエブロとは、共同体集落で、
建物になっているネイティブアメリカンの住居集落です。
私が持っている「パウワウ」という本(著者:菊池東太さん)に
似たイメージの写真があったと引っ張り出しました。

そこには「タオスプエブロ」とありまして、
1992年には世界文化遺産に登録されていた場所でした。

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そしてこのお話では最後に
カウボーイもネイティブアメリカンもカロリーヌたちも、
みんな一緒にパーティーで踊ったり大盛り上がりします。

4話目 げんきですべろう

最後のお話は、スキーに行くお話です。
けれどここでも、スキーに行ったことがない幼児のわたし、
スキージャンプの大会が開かれたりしますが
そもそもなんでそんなに高く飛べるのか
全く意味が解らず、不思議だと思ったものでした。

雪国で過ごしたわけでもなく、
スキー場にも行ったことがありませんでしたから
リフトというものや
アイススケートというものを知ったのは
このお話からだったかもしれません。

けれどその後すぐに
1972年の札幌オリンピックが開催されました。
そこでやっと、なるほど、と、あれこれ確認したのでした。

好きな時に眺める絵本だったからこそ

3~4歳児にとってのはじめてがいっぱいつまった絵本
それがカロリーヌシリーズでした。

時代的には、既にTVでもあれこれ、同じようなものを
映像として見せてくれていたかもしれないと思います。

けれど、この細部までしっかり描かれた、
それもとてもかわいい動物のお友だちを通じて教えてもらえる世界です。
何度もじっと眺めることで
自分の内側にいろいろなものを取り込んでいたような気がします。
これはリアルな映像を見ているのとは違う感覚ではないかなと思います。

「カロリーヌのせかいのたび」につづく…

でもこれだけではありません。
もう一つの本、「せかいのたび」こちらもかなりのお気に入りでした。

そして今回こちらもあらためてみると、
こういう所が私の思考を創ったのかもしれないと納得。
これはまた次回にお話しさせてください。

と、言ったつづきはこちら


最後までおつきあいいただきありがとうございました。

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今回入手できたこちらは
昭和45年1月10日重版 390円でした


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