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迷走する夜

その日は、炊きたてのかための白いごはんを食べたいなと思っていた。
帰り道、ごはんのお供はなににしようかと想像しながら、車を走らせていた。
たきたてのまま一口食べて……。
あ、肉巻きおにぎりなんかつくっちゃうのはどう?(肉はないけど)
それから、カツオスライスのおにぎりも(まだあったはず)。
残ったごはんはその他のおにぎりでも、おいなりにでもしちゃえばいいし……。
肉を買いに寄るかどうかも含めて、あれこれあれこれ――。

実は、「炊きたてのかための白ごはん」欲求は、モスバーガーの焼肉ライスバーガーを食べたいな~と思ったのが始まりだった。
炊きたてはともかく、あのかためのごはん!!

モスのネット予約でピックアップして帰ることも可能なのに、なんだか贅沢な気がして――お米がないわけじゃなし、焼肉ライスバーガーもすぐにいなくなるわけじゃなし。
だから、自分で存分にごはんを炊く欲求を満たしてみてもよいのでは、という流れからのあれこれあれこれ。

でも、途中で食パンが1斤放置されていることを思い出した。
レジ前で売れ残っていたのをかわいそうに思い、つい買ってしまった食パン。
そうだ、サンドイッチを作ろうと思っていたんだった。
たまごとたまねぎ、チーズとツナはあるな……。
サンドイッチならあえてなにも買い物はしないでも作れそうだけれども、しかしながら、白いごはんのイメージほど心が浮き立たない。

うむー。

悩む。

だって、「食べること」にはどこかにわくわくがないとね。

どうせ作るなら、ちょっと変わり種にチャレンジしなければ、という思いもある。
それはおにぎりもおいなりも、サンドイッチも。

そしたら今度は、稲庭うどんを思い出してしまった。
そうだ。
うどんでも何かつくってみたいんだった。
稲庭うどんは、いっぱいある。
でも食べたいのはちょっとなんだよね。。。。

そうだ。
稲庭うどんでナポリタン作ってみよう。
それをはさんでみよう。
炭水化物を炭水化物ではさむの?と言われそうだが、やきそばパンみたいなものだから、それは気にしない。
ちっちゃいソーセージがあったはず。あとはたまねぎしかないけど、いっか。サンドイッチ仕様ということで。
で、はさむのは……はさむというよりは、ポケットサンドにしようかな。
あの食パンではいまいちはさみづらい感じもするけれど、まあいい、やってみよう。

急に気持ちがわきたち始める。
炭水化物祭りみたいな頭の中になってきた。

というわけで、帰ってからやってみた。

うどんをゆでて、3分の1ほどより分けてナポリタン風に。
つるつるしたうどんには、具やケチャップがうまく絡まないものの、それでも出来上がりにはナポリタンの雰囲気はそれなりにある。
まぁいいか。
味は軽めだけど、これまた雰囲気はある。
まぁいいか。

くるみ入り食パンを厚めに切って、2分の1サイズにする。
断面に切り込みを入れてポケットをつくり、うどんナポリタンをつめてみる。
こうしてみるとおいなりにしてもいいのかもしれない。これはこれでまた別の機会に試してみようと思う。

それにしても、残りのうどんをどうしよう。
ふつうのうどんとしても食べてみたけれど、思ったほど減らなかった。
稲庭うどん200g、恐るべし。

引き出しをあてどなく開けていたときにNISHIKIYAのレトルトカレーシリーズがあることに気づいた。
カレーうどんにできるじゃないかと思いつく。

その中からカロリーカットの和風だしカレーを選んで、湯せんする。
このカレーにしたのは、カロリーの蓄積に罪悪感を覚えて「カロリーカット」の見出しに惹かれたのと、うどんと和風だしなら合いそう、という単純な理由から。
我ながらわかりやすいね。

あたたまったら即座に混ぜる。

ん-。
たしかにだしの香り満載で和風だ。
ただ、ナポリタン同様うまく麺と絡まってくれないのは、やはりうどんのせいなのだろうか。
いやいや、カレーうどんはパスタの代用メニューではない(うどんナポリタンとは違う)ので、必ずしもまとわりつくほどまでに絡まなくてもいいのではないか?と思いなおし、よしとする.

よし・できた。

が、カレーうどんを食べたかったわけではなかったな、と今さらのように気づく。
ちょろっと味見はしたけど。

結局、これまたサンドイッチの具にすることにした。

サンドイッチの具としてはうどんナポリタンもカレーうどんも、くるみ入り食パンにあわせるのにはちょっとパンチが足りないか???
カレーうどんはスライスチーズを下敷きにしてはさむ。
困ったときはチーズが仲立ち。

ナポリタンはどうだ?
多少不安はあるが、すでに夜中の12時を回ってしまったので、今からまた味の立て直しはしんどい…………。
でも、でも、少しは味をまとめておきたい。

そうだ。
ミョウガの甘酢漬けをトッピングしたらアクセントになりそうだ。
困ったときは酢漬けが仲立ち。
少しばかり残っていたうどんナポリタンに、ミョウガを散らして味見をしてみる。

うむ。

自分的にはいいように思えたので、サンドイッチにもぐいっと押し込んでみる。
このあたり、なんでもチカラ技で無理やり感が漂う。集中力が尽きてきたので、いたしかたない。
これにて終了としよう。

思えば白いごはんからだいぶかけ離れたゴールになっている。
ふつう、サンドイッチを創ろうというときはイメージ先行で、できあがりも早いのに――まあ、もともとの食欲対象が違ったから仕方ないか。
食欲の秋、こんなふうに迷走することもある。

さあて、あとは寝かせたサンドたちが、それぞれどのくらい味がまとまっていってくれるか……。

とりあえず、やれることはやってみた、ということで。

味の感想はまた後日、食べていただいた方々から率直に伺ってみる予定である。
自分では迷走したわりには悪くはないと感じているが、自分に甘い採点結果なのであてにならないだろうから。

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