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強い女性は幸せなのか。映画『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』

女性の幸せとは、いい結婚をすること。

それが当たり前な時代に、
夢と野心を抱いて、
才能を磨いて、
信念を曲げずに強く生きる
主人公ジョーの女性像は
現代女性にとっては、
すごく共感する部分だと思う。

『ストーリー・オブ・マイライフ』は
個人的にはものすごく好みで、
映像美や脚本、すべてが愛おしい作品だったが
それ以上に考えさせられることが多くあった。

おすすめポイント

この映画は、アメリカ文学の
小説「若草物語」が原作となっていて、
過去に映画化されたりもしたが、
今回も再びそのリメイク版。

恥ずかしながら、
私は原作を読んだことなく、
過去の映画も観たことがなかったので、
「若草物語」に触れたのは
これで初めてになる。

19世紀を描いている話とは思えないぐらい、
ジョーや姉妹の姿は
現代の女性とすごく似ていた。

なんだか世界は
大きく変わったようにみえて、
そこまで変わっていない気もする。

主人公ジョーの強さや
生き様そのものがこの映画の見所だし、
一方でかっこいいだけではなく、
ジョーが感じる葛藤も
多くの女性の共感を呼ぶと思う。

田舎住まいの4人姉妹の
それぞれの個性、
それぞれの生き方、
それぞれの選択もこの映画の魅力。 

そんな4人の何気ない青春の日々が、
キラキラと光って描かれていて、
そこには幸せと悲しみや葛藤もあって、
でもそんな日々が
愛おしく感じるような映画だった。

振り返ったとき、
人生の素敵な瞬間は何気ない
日常の中にあるのかもしれない。

強い女性は幸せなのか

自立していて、強くて、
かっこいい女性は憧れる。

私もジョーみたいに自分の信念を貫き、
自立していたいと強く思った。

でも、ジョーの言葉に、

女性の幸せが結婚だけなんておかしい、
そんなの間違っている。でもどうしようもなく孤独なの。

泣きながらこれを話すシーンは
涙を流さずにはいられなかった。

このときのジョーの涙は
多くの女性が流す涙だと思う。

現代は結婚するか仕事するか
どっちしか選べないのではなく
幸い、両立できる時代になった。

でも、それでも、
まだジョーと同じような葛藤に
苦しむ女性は多い。

社会に出ると男性と同じ
強さが求められるのに
女性には女性らしくいてほしい
というニーズがある。

結局は強い女性は男性や世の中のニーズを
満たしていないのかなと思う。

そうじゃないことももちろんある。

でも、肌感的に女の世界では
”弱さ”以上に強いものはないと
思うことは確かにある。

女性は鈍感のほうが、
弱いほうが、幸せかもしれない。

いろいろ気づけるよりも
気づかないほうが幸せなことが多々ある。
1人で生きていけそうな女性、
1人で何でもできちゃう女性は、
あんまり可愛くないのだ。

頼られるのが好きな男性のほうが
多いらしいけど、
それだけではなく、
余白というか、
隙があったほうが
人って魅力的にみえる。

一方で現代においては、
草食男子という言葉が流行るほど、
そう思っていない男性もいると思うし、
いろんなカップルいるし、
守ってもらいたい男性だっているから、
多様化しているけれど、
実情をどうなんでしょうか。

男性が求める理想の女性像と
社会において女性に求められる要素が
乖離しているように感じる。

いや、むしろ男性とか女性とか、
関係ないかもしれない。
結局、人はなんだかんだ
完全さにこだわるわりには
不完全を好むのです。

もしかしたら、
弱さを出せる人こそが賢くて、
それこそが本当の強さかもしれない。 

それができない人のほうが、
強そうに見えてるだけで、
すごく不器用なだけかもしれない。

ジョーは自分の信念と夢と
自立したいという強い想いを持ちながらも、
孤独感を感じていた。

そして、不器用だった。

どんなに強そうにみえても
100%強い人間なんていない。

ジョーの葛藤は
現代を生きる女性たちの
姿そのものだった。

4人姉妹のそれぞれの幸せ

忘れてはいけないのが、
みんながジョーみたいに生きれないし、
ジョーみたいに生きたくない人も
いるということ。

姉メグが結婚を選んでしまったことを
理解できないジョーは、
結婚式の日にメグに、
結婚しないでほしいと言うシーンがある。

結婚しないで、
女優になればいいのにって。

それに対してメグは
「わたしの夢があなたと違うからって、
取るに足らないということじゃない」
と言い返す。

ここがこの映画の最大のポイントで、
ジョーの生き方だけを
正解にしていない。

夢を追いかけることを選ぶジョー、
結婚して家庭をつくることを選ぶメグ、

ジョーと価値観や性格もすべてが対照的で、
お金や地位を大事にする妹のエイミー、

自分を犠牲にして他人を気にかけるベスも、
4人のそれぞれの選択が価値あるもので、
そこがすごくリアルだった。

結末もとても好きでした。

文学の有名作品が、
ここまで時代を超えて
名作といわれる理由が、
大人になってやっとわかる。

きっと、時代が変わっても
変わらない普遍的なことを
描いているからなんだと思う。

そして、時代を超えて、
こうして映画になって
私たちはまたその世界に触れられる。
だから映画はやめられない。
いつだって新しい世界を見せてくれる。

今日はこの辺で!

Karo

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