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感想文の書き方3ヶ条(主に美術)

 というタイトルが思いついてしまったので、まず先にその3ヶ条を書く。なお、自身で「3ヶ条」などと標榜しつつ、全ての美術鑑賞でこの3ヶ条を遵守しているわけではないこと、予めお断りしておく。

  1. 美術展のテーマ、必要な知識は前もって調べておく。

  2. 会場内ではメモをとる。

  3. 読んでいて面白いもの、本当に書きたいと思うことを書く。

 美術展に関する情報なら、まず最初にホームページやパンフレットに書いてあるようなことは確認しておく。例えば特定の画家に関する個展、特定の美術館・コレクターによるコレクション展、あるいは印象派や浮世絵といった、特定のテーマ、ジャンルに基づく展覧会か、といったことがわかる。

 もちろん、すべての芸術に通暁していれば良いが、現実はそうもいかない。そこでどうするかと言うと、とりあえず調べてみる。ネットでならコトバンクあたりが無難で手っ取り早い(最新の情報に弱いという欠点はある)。それ以外だと各種アートメディアや雑誌、深く調べたいのなら書籍などにもあたっても良い。

 続いて、会場内ではなるべく記録することを心がける。会場内が嫌なら会場外でも、とにかく観たときに浮かんだ感想は何かしらの記録にとどめておきたい。美術作品を見た印象は以外と忘れることも早く、こと「感想を書く」場合、この忘却は致命傷になりうることもある。書くことはその忘却のための予防線であり、また、書くという行為自体によって、印象を記憶に定着させようという狙いもある。

 なお、会場内での筆記用具は鉛筆が基本である(シャープペンも通常は禁止されている)。作品リストはメモ用紙の代わりになるが、森美術館のように、環境への配慮から作品リストを配布していない美術館もあるのでそこは注意したい。また、キャプションの説明書きを丸写しのように書き写している人もいるようだが、それだったら図録を購入してしまったほうが早い。

 写真撮影が可能な会場もあり、そういう場所、また筆記用具を出すのがなんとなく恥ずかしいギャラリーとかでは私自身、よく撮影をする。ただし、なんでもかんでもカシャカシャ撮るのではなく、自分が琴線を動かされた作品のみに絞ったほうが良いと思う。また、気になった箇所をズームするなど、写真も記憶を呼び戻すための手がかりとして使える。

 最後に書き方だが、これは人それぞれ個性があると思う。詩のように短い小節でスパッとまとめたい人もいれば、私みたく600-1200字程度の長さで書きたい人、さらには美術展単位ではなく、作品単位で原稿用紙5枚ぐらいの分量を書きたいという人もいる。

 何が正しいというものでもなく、そこは各人の思う理想を追求していただければと思う。最初のうちは「お手本」があると良い。「お手本」と言っても、別に小林秀雄なんかの芸術論である必要は無い。今日届いた朝刊の社説でも良いと書いたのは、丸谷才一である。

 さらに敷衍すれば、「こうなりたい」と思うのならば文章でさえある必要は無く、J-POPの歌詞でも、ラップでも良い。私自身、感想文を書き始めたとき、参考していたのはILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)のラップだった。強気でありながらも誠実で、スリリングな展開は今も私にとっての理想である。

 もう少し書くと、自分自身で読み返して、聞くべき内容になっていないのなら、あえて投稿自体をしないこともある。特に私のように一定量の文章を書く場合、グダグダと愚痴を書いてしまうと聞くに堪えないものになってしまうので、そうならないように注意している。批判することが一律に悪いこととは思わないが(無条件の絶賛はそれはそれで緊張感を欠く)、書き方によっては(自分自身を含め)読む側にも負担をかけることもあるので、表現はなるべく慎重に、かつ必要最小限にとどめたい。

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