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播磨陰陽師の独り言・第427話「七福神のこと」

 皆さま、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
 さて、お正月にやって来るもの……と言えば〈七福神〉。初夢と七福神には密接な関わりがあります。七福神は宝船に乗っています。良い初夢を見るようにとの願いを込めて、宝船に乗った七福神の絵を枕元に置いて願う風習は江戸時代頃に定着しました。当時は枕元ではなく箱枕でしたので、枕に直接被せていました。
 神社で宝船の絵を売りはじめたのは京都五条天神でした。室町時代のことです。当初、七福神は乗っておらず、稲穂がひとつだけ乗っていて、厄祓いのための物でした。この宝船の絵は、何と今でも買うことが出来ます。ただし初詣での時期だけですが……。
 江戸時代になって七福神が流行って、大黒さんたちが乗るようになりました。宝船は、年のはじめに蓬莱ほうらいと呼ばれる島からやって来るそうです。大きさ的には山なので、山だか島だか分かりません。諸説ありますが、松の内が終わるか、あるいは年末には宝船は帰るようです。
 当然ですが、帰る時、船は後ろ姿をさらします。そこには鬼が笑って踊っています。
 帰る時は大黒さんが、
「来年、また来るからのぉ」
 みたいなことを叫び、別れを告げます。
 それを聞いて鬼が笑うのだそうです。しかも両手に日の丸のついた扇を持って、囃し立てながら笑います。実は、来年のことを言うと鬼が笑うので、そのために鬼が乗っているそうです。京都山崎のお寺に宝船の模型が飾られていますが、その後ろには、やはり鬼が乗っています。
 宝船の船頭は、布袋さんがやっているそうです。のんびりと乗っている他の神々に比べると、正月から働かされているのですね。布袋さんは元々人だったからでしょうか? 他の神々は最初から仏さんや神さまですから……。
 ここで七福神のことですが、
——年が変わる前に福の神の御前に参詣して年越しすれば、福の神が夢の中で示現し、福徳を授ける約束する。
 と言われています。どこの寺社でも良いそうですが、特に毘沙門天は初夢に関係しています。大晦日から毘沙門天にお参りして年を越すと、良い夢が見られるそうで、昔はそのような風習がありました。特に鞍馬山の毘沙門天が良いそうで、狂言の中にもお参りして福徳を授かる話が残されています。もう大晦日は過ぎましたが、今年も良い年でありますように……。

 本日も夜九時からクラブハウスで朗読と質問受け付けがあります。
 次回のクラブハウスの音声配信は一月四日の午後九時からです。内容は六日から七日までに行われる行事についてです。朗読とそれに続く質問コーナーは『陰陽師の嫁/W&M Club』で聞くことが出来ます。もちろん参加して質問することも出来ます。お楽しみに……。

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