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播磨陰陽師の独り言・第435話「インドのフランス傘」

 何年か前にインド旅行した時のことです。ショッピング・モールで買い物しているとパラパラと雨が降ってきました。次第に激しい雨になりました。店にいるだけなら問題ありませんが、外に行くには激し過ぎます。土砂降り雨だったのです。それで傘を買うことになりました。
 最初、あまりの雨の激しさに、案内へ行って、
「この雨はいつ頃、やみますか?」
 と聞きました。
 すると、
「いつかそのうち」
 的なことを言われました。
 誰に聞いても、
「たぶん、いつかやむよ」
 みたいなことしか言われませんでした。
 外には雷も轟きはじめていました。
 不思議なことに、地元の人たちは雨を気にしていないようでした。
 ホテルを出る時、
「水たまりに足を入れると、怪我をして破傷風になるから注意するように」
 と言われていたので、雨を怖ろしく感じていました。
 さて、大きなショッピング・モールとは言え、傘を探すのは大変でした。ここで見つけるのが困難なのではなく、インドで傘を買うのが難しいようでした。インドの人は傘を差さないようでした。
 あちこちを聞き歩いて、ようやく一軒、傘を扱っているお店にたどり着きました。あったのはフランスの雑貨のお店です。しかもエスニック風の妙なデザインの雑貨ばかり売っていました。
 お店のショーウィンドウに一組の傘が飾ってありました。閉じた状態でコケシのように見えるデザインで、傘の頭に和風の顔がついていました。あくまでも西洋人がデザインしエスニックな感じでした。
 インドで、わざわざフランス製の和風デザイン傘ですか? しかし、とても気に入っていました。
 傘を買って帰国してから、国内で同じ店を見つけました。フランスのお店です。京都烏丸にも、博多天神にもありました。お店の名は忘れましたが、かなり有名なお店のようでした。奇妙なデザインの雑貨ばかりあったような気がします。このお店は好きですが、京都烏丸のお店はなくなりましたので……。

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