見出し画像

播磨陰陽師の独り言・第437話「困った人々」

 あるセミナーの中でのことです。
 突然、大きな声で、
「聞いていたのと違うんですけど」
 と不平を述べた人がいました。
 細かく聞いてみると、
——他のセミナーで聞いた内容と、ここで聞いた内容が違う。
 と言うのです。
 それは、明らかにむこうが間違っている内容でした。
 だから、やんわりと、
「それなら、そのセミナーの講師の方に質問してください。私は関係ありません」
 と答えました。
 この時に叫んだ人は、その後にもいくつか問題を起こしました。ひとつひとつは小さな問題なのですが、私はそのようなことを許せるほど寛容ではありません。最後には、勝手にコンセントに充電器を刺して電気盗みを働いていたのを目撃したので、出入り禁止にしました。小さなことと言っても、手癖の悪い人は許しません。祓い清めとかやっていると、規則を守れないことが厄の原因となることを良く理解しています。
 何年かにひとりくらい、このような困ったことをする人が現れます。
 困ったと言えば、今まで、一番、すごいと思った妙な人がいました。ここまで来ると、たいしたものだと感心します。と言うのは、ある日のこと、家の近所でたつみの会をしていると、時々来る女の人が、
「約束を守らなかったのはなぜですか?」
 と、エライ剣幕で怒りながらやって来ました。
——はて、何のことだろう?
 当然、思い当たる節はありません。
 良く話を聞くと、
——夢でデートの約束をしたのに、なぜ、来なかったのか?
 と言うのです。
——デート? 妻がいるのを知っているのに?
 何を言っているのか訳が分かりません。
 それからが、さらに、たいへんでした。
 何日かしてのこと、
——あなたと夢の中で作った子が、現実の世界で大人になっていて、世界征服をしようとしているので、いっしょに止めて欲しい……。
 と、真顔で訴えて来たのです。
 もう、ここまで来ると、どうかしているとしか思えません。私は理解するのを辞めて、苦笑いしながらその場を立ち去るしかありませんでした。まだまだ妙な人はいますが、そちらについては、また、いつか……。

  *  *  *

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?