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御伽怪談

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昔の実話怪談に基づいた、お伽話のようなオリジナル小説です。各々原稿用紙16枚です。第一集は、江戸に広がる猫のお話が中心です。
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#短編小説

御伽怪談について

 はじめまして。播磨陰陽師の尾畑雁多です。大阪文学学校で小説を学んでいます。  御伽怪談…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第二集・第二話「負けませんわ」

  一  江戸時代がはじまって六十年ほど過ぎた寛文三年(1663)の初夏のことであった。…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第二集・第一話「悲しき抜け首」

  一  昭和の見せ物小屋では、チャチな作りのろくろ首が、三味線を爪弾きながら首を伸ばし…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第八話「小判猫の報恩」

  一  文化十三年(1816)の春、ネコがその恩を報おうとして打ち殺され、回向院に碑を…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第七話「不思議なことよ」

  一  『甲子夜話』の著者として有名な松浦静山が、ある年の八朔の御祝儀のために、江戸の…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第六話「極楽猫曼荼羅」

   一  小普請組奉行・阿部大学様の配下に兵庫之介と申すサムライがいた。若くして父を亡…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第五話「耳をすますと」

   一  不穏な事件の多かった寛政の頃(1790年代)、越ヶ谷宿にあるサムライが住んでいた。実名を公表する訳にはいかない。とりあえず宮園白水とでも呼ぶことにしておこう。白水の竹馬の友に、面高文五之助がいた。  ある秋のこと、文五之助は白水の住む越ヶ谷宿の屋敷を訪れ、普請奉行の視察の仕事を兼ねて三泊ほど世話になることとなった。  白水は元々江戸の生まれである。だが、三男だったこともあり、何年か前、越ヶ谷の武家屋敷に入り婿したのだ。  越ヶ谷宿は野鳥の多い土地として知られて

御伽怪談第一集・第四話「狸奴だからね」

   一  寛政(1790)の頃のこと。江戸深川の小奈木沢に近い川端に、徳右衛門と申す長…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第三話「当たり前だの」

  一  寛政七年(1796)の初夏のことである。江戸牛込の山伏町に小さな寺があった。派…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第二話「化け猫の報恩」

   一  時は江戸時代。天明年間(1782)の五月初旬のことであった。  大阪の農人橋…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第一話「残念と申す猫」

   一  時は江戸時代の中頃のこと。番町にひとつの武家屋敷があった。  番町と言えば、 …

尾畑雁多
2年前
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