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御伽怪談

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昔の実話怪談に基づいた、お伽話のようなオリジナル小説です。各々原稿用紙16枚です。第一集は、江戸に広がる猫のお話が中心です。
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#猫

御伽怪談について

 はじめまして。播磨陰陽師の尾畑雁多です。大阪文学学校で小説を学んでいます。  御伽怪談…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第八話「小判猫の報恩」

  一  文化十三年(1816)の春、ネコがその恩を報おうとして打ち殺され、回向院に碑を…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第七話「不思議なことよ」

  一  『甲子夜話』の著者として有名な松浦静山が、ある年の八朔の御祝儀のために、江戸の…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第六話「極楽猫曼荼羅」

   一  小普請組奉行・阿部大学様の配下に兵庫之介と申すサムライがいた。若くして父を亡…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第五話「耳をすますと」

   一  不穏な事件の多かった寛政の頃(1790年代)、越ヶ谷宿にあるサムライが住んで…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第四話「狸奴だからね」

   一  寛政(1790)の頃のこと。江戸深川の小奈木沢に近い川端に、徳右衛門と申す長…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第三話「当たり前だの」

  一  寛政七年(1796)の初夏のことである。江戸牛込の山伏町に小さな寺があった。派手な伽藍で有名なこの寺には色々と不思議な噂があり、名は隠すことにする。その寺で住職の源信と言う年老いた和尚が、長年、赤猫を飼っていた。赤猫とは茶色の虎猫のことである。江戸時代、どの家でも赤猫を〈アカ〉と呼んだが、この寺も例外ではなかった。    初夏の日差しは暖かく、源信和尚は蝉の鳴く声に耳を傾けながら縁側でまどろんでいた。庭には数羽の山鳩が遊んでいた。和尚は生米を撒きながら山鳩の姿を眺

御伽怪談第一集・第二話「化け猫の報恩」

   一  時は江戸時代。天明年間(1782)の五月初旬のことであった。  大阪の農人橋…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第一集・第一話「残念と申す猫」

   一  時は江戸時代の中頃のこと。番町にひとつの武家屋敷があった。  番町と言えば、 …

尾畑雁多
2年前
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