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御伽怪談

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昔の実話怪談に基づいた、お伽話のようなオリジナル小説です。各々原稿用紙16枚です。第一集は、江戸に広がる猫のお話が中心です。
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#首の長い人々

御伽怪談について

 はじめまして。播磨陰陽師の尾畑雁多です。大阪文学学校で小説を学んでいます。  御伽怪談…

尾畑雁多
3年前
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御伽怪談第二集・第九話「落ちた涙の先」

  一  さぁ、いらはい、いらはい。皆さま方、可愛そうなのはこの子にござる。親の因果が子…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第二集・第八話「飯炊きの名人」

  一  女もしたる、ろくろ首と申すものを、男もしてみんとて……ではなけれども、その多く…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第二集・第七話「かぶりつく首」

  一  越前の国・敦賀に、原仁右衛門と言うサムライが住んでいた。彼は『北窓瑣談』の著者…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第二集・第六話「夜中に伸びる」

 世に、ろくろ首と言われるものは、ある種の奇病である。あるいは、これを〈飛頭蛮〉と称し、…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第ニ集・第五話「不名誉な噂〈後編〉」

  五  次郎兵衛の友人・秀吉が、いきなり叫んだ。 「それは、いってぇ、どう言う了簡だぁ…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第ニ集・第五話「不名誉な噂〈前編〉」

  一  その昔、ろくろ首は病気だと思われていた。しかも、単なる病などではなく、化け物となる病である。深い業を持つ者が罹るとされ、感染ると誤解されていた。そのため、もし、ろくろ首であることが分かれば大変なことになった。謂のない差別を受けたのである。もちろん、本当のろくろ首かどうかは問題ではなかった。噂になっただけでひどい扱いを受けることとなった。このような悲劇にも似た境遇から幸福になった者がいた。  宝暦(1750)の頃のこと。少ない元手で貸本屋をして世渡りする若者が増え

御伽怪談第二集・第三話「抜け首の悪事」

  一  昔から、世に〈ろくろ首〉なるものが語り継がれているが、ハッキリ見たと言う者もな…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第二集・第二話「負けませんわ」

  一  江戸時代がはじまって六十年ほど過ぎた寛文三年(1663)の初夏のことであった。…

尾畑雁多
2年前
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御伽怪談第二集・第一話「悲しき抜け首」

  一  昭和の見せ物小屋では、チャチな作りのろくろ首が、三味線を爪弾きながら首を伸ばし…

尾畑雁多
3年前
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