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ストレスと不安の解消法 ①栄養

食べ物は、ストレスを解消するのに最も身近な手段のひとつです。なにか嫌なことがあったとき、ついつい甘いものやジャンクフードが食べたくなったり、あるいは「ヤケ食い」と言われるように普段より食事の量が多くなったりしますよね。

ストレスを受けると、動物はコルチゾール、植物はエチレンというストレスホルモンを分泌します。コルチゾールは血中のグルコースや糖を増やし、脳がストレスに対処するためのエネルギー源としてこれらを使います。そしてグルコースは炭水化物の加水分解によって生成されます。したがって、血中で失われたグルコースや糖を補うための反応として、ストレスを感じた後には炭水化物や甘いものが食べたくなるのです。

しかし過剰な糖分摂取は、血糖値の乱高下や、インスリンの大量分泌による低血糖状態を招きます。またジャンクフードの特徴である高脂肪食は、腸内細菌に作用してセロトニンの生成を妨げます。さらに食品は、加工することで、植物のストレスホルモンであるエチレン濃度を上昇させると言われています。これらすべてが、さらなる不安やストレスを招くことに繋がります。では何をどのように食べたらいいのでしょうか?

1.セロトニンの生成を助ける食品をとる

幸せホルモンと呼ばれるセロトニンは、トリプトファンという必須アミノ酸の一種によって作られます。この必須アミノ酸は、体内で生成することができないため食べ物から摂取する必要があります。トリプトファンは豆腐や納豆などの大豆製品、牛乳やチーズなどの乳製品に多く含まれています。
またビタミンB6はトリプトファンがセロトニンに変化するのを助ける働きがあります。ビタミンB6は赤身の多い肉や魚、緑黄色野菜などに多く含まれています。また、トリプトファンの吸収は炭水化物によっても助けられます。

そしてこれら3つの栄養素を豊富に含むのが、バナナなのです。バナナを食べれば心が安定します。そしてバナナは食物繊維が豊富なので、満腹感も得られます。ちなみに私が好きな食べ方は、冷凍バナナを牛乳と合わせてミキサーにかけて作るバナナシェイクです。牛乳にもトリプトファンが多く含まれていますし、バナナを凍らせておくことで氷を足す必要がなくなるので味が濃いまま楽しめます。今日からおやつはバナナ!

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またこれらの栄養素をサプリメントで補えばいいという意見もあるかもしれませんが、咀嚼行為自体がセロトニン分泌を促す働きがあるので「食べる」ことを意識してみてください。

2.GI値を意識して食べる

GI値とは糖質の吸収度合いです。アスリートやダイエットに詳しい方ならお馴染みの言葉ですよね。GI値が高い食品は、血糖値の急激な上昇とその後の低下を招き、心を不安定にします。同じ栄養素を多く含む食品でも、GI値の高低はあります。

例えば炭水化物を多く含む食品の中では、フランスパンやお餅はGI値が高いのに対して、玄米やライ麦パンはGI値が低いため急激な糖の吸収を防ぎます。
またGI値が高い食品の中にはチョコレートなどのお菓子もありますが、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールはストレスを軽減させる働きがあるので適度に摂取すると良いです。そのためチョコレートを食べるときは、よりGI値の低いダークチョコレートを食べることをおすすめします。ちなみに私はこの甘くないホットチョコレートミックスをヨーグルトにかけて毎日食べています。

食べ合わせでも糖の吸収を抑えることができます。乳製品や食物繊維は高GI値食品にとって最適なパートナーですが、オリーブオイルもその一つです。マーガリンの代わりにパンに塗ったり、パスタソースを作ったりする際にもオリーブオイルは活躍します。私は5年以上ずっとサラダ油の代わりにオリーブオイルを使っています。

最後に食べる順番です。いきなりGI値が高いものから食べるより、低いものから食べる方が糖の吸収を抑えられると言われています。例えばごはんを食べる前にまず野菜を食べる、といった事です。コース料理は前菜やサラダから始まりますし、和食ではまず味噌汁から手をつけるように言われます。実はこれらは理にかなった食べ方だったんですね。

3.香りの良い飲み物を飲む

アロマテラピーにリラックス効果があることは、よく知られていることです。人工・合成でない天然の香りは、自律神経を整えて脳内のα波を増幅させる働きがあります。
東洋におけるアロマは、お香です。お香に使われる香木の伽羅などは、かつては鎮痛作用のある漢方として体内に取り込まれていました。このように香りの強い植物は、脳や身体に作用してその働きを改善する効果があります。

一般的に、香りの強い植物はハーブか飲み物として用いられていることが多いと思います。例えばハーブティーや、コーヒーなどです。しかしコーヒーに多く含まれるカフェインは、取りすぎにより脳の興奮状態を招きかえって疲労を増大させます。そこでお勧めしたいのが煎茶です。

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お茶はアロマと同様に、茶香炉を使って香りを抽出することでテラピーにも使わるほどリラックス効果のある植物です。特にお茶に含まれるテアニンは、高い抗ストレス作用があることでも知られています。煎茶にもカフェインは含まれていますが、コーヒーと比較するとその含有量は3分の1程度と低いため興奮作用は低くなっています。そして何より煎茶をおすすめしたい理由が、この香りが日本人にとって馴染み深い香りだという理由です。

嗅覚は五感の中で唯一、記憶を司る扁桃体や海馬と直接繋がっています。そのため匂いが記憶を呼び起こすことは誰にでもあることで、同じ文化を共有していない民族とは香りの感じ方が異なるともとれます。
単純に成分として作用があるという理由だけでなく、その行為自体を心地よいと感じたり続けたいと自発的に思う情動的な理由があるか?という点で、お茶は日本人にとってその可能性が高いのではないかと思います。

出すまでが食事

ここまで理屈を色々と並べてきましたが、私はこれが一番の肝だと思っています。体内にあるセロトニンは、90%が腸内に存在します。そして腸で作られたセロトニンが脳に運び込まれることで、人は多幸感を感じます。ところが便秘になると、腸の動きを活発化するためにセロトニンが使われ、脳には十分な量が届かなくなってしまいます。
子供の頃は快便率が高かったので、トイレに行くたびに言い知れぬ多幸感を覚えていました。何度あの箱の中で世界平和を祈ったかわかりません。というわけで皆さん、入れたら出しましょうね

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