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Dr. Bean ~初めての歯医者さん~

しばらくnoteをサボっていたら、また仕様が変わっている???サボり期間が長過ぎて、もはや前がどんなだったかもちゃんと覚えてないけれど…

そう言えば先週、イギリスに来て初めて歯医者さんへ行きました。

渡英して以来ずっと、歯医者さん行かなあかんよなーと思いながらも、めんどくさくって後回しにしていたけれど、とりあえず検診くらいは行っとかなあかんよなと、ようやく重い腰を上げて母子3人分の予約を取りに行ったのが4月。
そう、ウワサには聞いていたけれど、NHS(英国国民医療サービス)の歯医者さんは、ほんとに3ヶ月先まで予約とれなかったヨ。こちとら予約取ったことすらも、すっかり忘れかけてたヨ。

私は虫歯ができやすい体質というか、過去にたくさん虫歯治療歴があるし、甘いもの好きだし、ダラダラ食べしちゃうし、虫歯になりやすい口内環境が揃ってしまっているので(自覚してるなら改善しろよというツッコミは甘んじてお受けします)、歯医者さんに行く度に、必ず虫歯が見つかってしまうのです。そんな私がイギリスに来て1年半も検診もせず放ったらかしにしていたので、絶対今回も虫歯あるって言われるんやろな。あるって言われたら治療せなあかんけど、イギリスの歯科治療は全然良い話聞かへんしな。どうしよかな。と、行くまでは超億劫だったんだけれど、歯医者さんに着いた途端「なにここ、天国???I'm in heaven!!!」と思わず声に出す私。「はー!!!涼しい!!!エアコンついてる!!!」と目をつぶり両手を広げるこどもたち。その様子を見て笑う受付のお姉さんお兄さん。

というのはですね、この日は英国史上最高気温40℃を記録した猛暑日。イギリスの一般家庭には冷房設備がないので、暑い日はひたすらそれを耐え忍ぶしかないのです。そして日本だと暑さのピークは14時頃のイメージがあるのですが、こちらは夏は日が長いこともあってか、夕方16時頃の方が暑かったりもする。私たちの予約時間は16:30。オーマイガッ!!!1番暑い時間やないかっ!!!なんでそんな時間に予約取ったんや!!!3ヶ月前の私のアホンダラッ!!!
と、歯医者さんに着くまでは、絶望とまではいかずとも、過去の自分に失望していた私が「I'm in heaven!!!」と叫んだ理由はそう、エアコン。冷房。クーラー。冷気。扉を開けた瞬間、私のカラダを包み込んだひんやりとした空気。それを感じた瞬間の安堵感と幸福感。砂漠をさまよった旅人がオアシスに辿り着いた心境と同じだったのではないかと拝察します。いや、まぁ自宅から歯医者さんまでは徒歩5分程度の距離なんですけどね。来る前にあんなに億劫だった気持ちも消え去り、はぁ〜涼しいって最高。幸せ。今日のこの時間に予約取ってた3ヶ月前の私、ようやった。ありがとう、私。という前向きな気持ちにすっかり心変わりしておりました。

しかし、いざ、診察室に入ると、やはり緊張する。診察室は個室で、ドクターと歯科衛生士さんと思われる方が1人ずつ。設備の様子は日本とさほど変わらない。「今日は暑いけどここは涼しいでしょ〜。さ、誰から診ようか?」と問われ、ここはまずは母から行かなあかんよな、と珍しく大人の威厳(?)を発揮し、「はい、私からお願いいたします」と自ら挙手。ついでに「私、英語得意じゃないので、ゆっくりわかりやすく話してクダサイ」とお願いしたら「いやいやいや、僕の日本語より上手だから大丈夫!!!」と優しく応えてくれる先生。誰かに似ている。誰だろう?

Dr.「どこか気になるところはありますか?」
私「いつもじゃないけど、ときどき痛む歯は何本かあります」
Dr.「それは特定の場所?それとも全体的?」
私「だいたい同じ場所です」
Dr.「OK.とりあえず診てみましょう」

と、日本と同じような流れでやりとりをしていざ診察。ちなみに、日本だと診察前後に必ずうがいをするように言われるけれど、こちらでは言われなかった。ほんとはうがいしたかったんだけど、"うがい"ってなんて言うのかわからず、そのままスルーしまった。後で調べたら"gargle"とか"rinse my mouth"と出てきた。そういえば、"イソジンガーグル液"って昔使ってたうがい薬のボトルに書いてあったな、とふと思い出した。日本人って、こうして実はいろんなところで無意識に英単語に触れてるんですよ、カタカナになってるからすぐに結びつかないだけで。

さぁ、いざ、口を開けて診察開始!!!と意気込んだところで別になんてことなく、ドクターが鏡ついてるやつと、先っぽ尖ったやつを両手に持って奥から順番に「UpperLeft2, ceramic」とか「no treatment」とか「filling」とかなんとか言いながら診ていく。日本とたいして変わらない。そんなもんか。どんな違いを期待してたんだ、私は。ぐるっと口腔内を一通り診た後

Dr.「歯茎が下がっている部分が結構あって、そこに冷たい物や温かい物がしみて痛みを感じていると思いますが、今のところ治療が必要なところはありません」
私「ほんとに?虫歯ない?no bad teeth?」
Dr.「bad teeth???」
私「あ、虫歯はbad teethじゃないのか。no decay teeth(英語で虫歯)?」
Dr. 「あぁ、decayね。no decayだよ。僕らは医学用語的にcariesと言うけどね。no cariesだよ。だから治療の必要もないよ。でも、少しステイン(歯の汚れ)がついているから、クリーニングはした方がいいかな」
私「今日、してくれるの?」
Dr.「いや、今日は検査だけ。クリーニングしたかったら、受付で次の予約取ってね」
私「クリーニングしてもらいたいから、予約とります。お願いします」
Dr.「OK。じゃ、あなたの診察終わりね。次はどっちから診る?」

ということで、私の診察は無事に終了。まさかの虫歯なかった!!!no bad teeth!!! no decay!!! no caries!!!思いがけない結果に、ほっとする私。どれくらいほっとしたかというと、朝起きて時計見たら8:00過ぎてて、やっべー!!!寝坊した!!!遅刻や!!!と飛び起きたものの、家族もみんな寝てておや?と思ったら、なんや今日は土曜日か、と気付いて二度寝するときくらいほっとしました。

その後、息子と娘も順番に検診してもらい、どちらも虫歯なしとのことで、さらにほっ。ほっほっほっ。おほほほほ。日本の歯医者さんだと、検診してそのままクリーニングしてくれたり、「この辺もうちょっとしっかり磨いてくださいね」とか歯磨き指導までしてくれたりするけれど、こちらは本当に検診のみで終了。虫歯がなかったというなにより最高の安堵感を手に入れた私は、もうこれ以上望むことは何もない!と思えたけど、ちょっと物足りない気もしなくもない。結局、欲張りなんやないか。

無事に3人の検診を終え、受付にて、私の歯のクリーニングを予約したい旨を伝えたら「11月2日ね」と。じ、じゅういちがつ???ノベンバー???すみれSeptemberLoveじゃなくて???(◀世代がバレるやつ)これまた3ヶ月先しか予約を取ってもらえず。まぁでも虫歯治療なわけじゃないし、仕方なし、とその日に予約を取ってもらう。こどもたちは半年後にまた検診ということで、1月に予約を取った。どっちもまた忘れそう…

とにもかくにも、英国史上最高に暑い日は、エアコンの効いた歯医者さんで過ごせたことと、絶対あると思っていた虫歯がなかったこと、思いがけないこの2つのできごとにより、史上最高に嬉しい日になった。とは言い過ぎだけれども、ある意味で、とても思い出深い1日となりましたとさ。

そして、歯医者さんからの帰り道にようやく気がついた。ドクターが誰かに似ていると思っていたけれとわ、それが誰だかわかった。ミスタービーンだわ。ローワン・アトキンソンさんだわ。目のギョロっと具合とおちょぼ口な感じが似ていると思います。ドクターのお名前を確認するのを忘れたので、ドクタービーンとお呼びすることにいたします。11月、またどうぞよろしくお願いいたします。そんときゃ、クマのぬいぐるみ持っていこうかな。