吾郎に会えない時間が、千明と私たちの吾郎への愛を育てるのですね(『みかづき』第四話レビュー)

大島吾郎(高橋一生)の不在がとっても長く感じる第四話。停滞した家族に、塾に、物語に、わーっと明るく爽やかな風を吹かせて生き返らせる吾郎はまるで魔法使いのよう。

千明(永作博美)の行き詰まりと、ドラマとしての息詰まりがぴったりリンクする。強い女しかいない世界って、中にいても外から見てても疲れるのよね〜、と色々身につまされる思いをする前半30分でした。千明もたじたじの強烈な女に育った蘭(大政絢)。反抗期真っ盛りの菜々美(桜井日奈子)。桜井日奈子ってあんまりよく知らなかったのだけど、母への当たりっぷり、上手かったな。とにかく、女三人、全員自我バッチリな奴が揃うと全然癒しがない、息をつく暇もない。

苦悩は重なるもので、吾郎不在の塾もまた癒しがない。生徒から、教師から、「理念はどうした」と責め立てられる千明 。強く逞しく生きる女性のこういう瞬間、本当に苦しい。強さ故に誰にも頼れない、ギリギリまで抱えきれちゃう逞しさがあるからこそ、限界まで行き詰まる。そして塾長室で一人泣く千明。ここまででだいたいドラマとして30分。

この30分が結構辛かった!それはもちろん、千明に共感しているのもある。あるのだけど、普通に見ていて辛い。癒し要素が一切ない。ずっと息吸い続けてて、吐ける瞬間がないって感じ。スポーツで言うと、「流れが来ませんね」「苦しい展開が続いてますね」「ここから空気を変えたいところです」っていうあの時間、みたいな。蘭の活躍も素晴らしいし、国分寺先生もお茶目なんだけど。でもやっぱりこのドラマには、この物語には、あの男が必要なんだ!そう、気が付いたら私達はすっかり吾郎に思いを募らせてる。

千明を、教師たちを、子供たちを、そして私たちを、30分間(実際は3年間)じらしてじらして、ようやく帰ってくる吾郎。冒頭で書いたように、家族に笑顔を、塾に新しい未来を、物語に風をもたらす。びっくりするぐらい都合よく、びっくりするぐらい愛されて帰ってくる。世界が活き活きする。大島吾郎がすごいのか、高橋一生がすごいのか。多分どちらもなのでしょう。お話も役者もめちゃくちゃ魅力的だ。すごい。

止まっていた空気が動き出し、そして動き出した空気に突き動かされて千明はまた新たな夢を追いかける。そうだ、これは夢を熱烈に追いかける話だったのだ、と第一話の熱を思い出させてくれた第四話ラスト。そしてあっという間に最終回。吾郎というエンジンと、千明というアクセルが揃って、再び急発進するこの物語がどこへ向かうのか。いくつになってもキラキラを追いかける二人を最後まで一緒に追いかけましょう!!

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92年生まれ。 常夏の女になりたい テレビドラマを真剣に見ると楽しいということを伝えたいです

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