「たとえ自分が灰になろうと」をさらっと流す粋な台詞と演出が最高です(『みかづき』第二話レビュー)

なるほど、確かにこれは家族の物語でありラブストーリーだ。と深く納得した第二話。

一話に引き続き、五話完結ならではのテンポの良さ。そして説明っぽさを一切持たせずにキャラクターを活き活きさせる台詞回しが凄く凄く巧い。凄く良い。

たった五話で大河やってのけるのだから、当然ながら時間がない。時間がないんだから、いちいち説明する暇がない。だからちょっとした会話のやりとりに「その人らしさ」がさりげなく、でもとっても濃く出ている。蕗子がクラスの男子に嫌がらせを受けていることが発覚したくだり。憤慨する千明(永作博美)が勢いで言う「悪徳の『徳』の字も書けない男子に負けちゃだめ!」。色んな方向から「千明らしさ」「千明じゃなきゃ言わない」「千明だから言える」が詰まっている台詞じゃないか。白黒きっぱりつけなきゃ気に食わない、男なんかに負けてられない、女だろうとなんだろうと知性が何より素晴らしい!別に決め台詞でもなんでもない短い一言に、ぎゅっと人間性が詰まっているのが素晴らしいです。そして蕗子がまた、この強い女の血をがっつり受け継いでるのが痛快!

もう一つ、じわっときたのは勝矢(勝見正明)と吾郎(高橋一生)がすっかり意気投合してしまう場面。教えた子供が分かるようになった瞬間の感慨を熱に浮かされたように語り合う。マッチの例えで盛り上がる中、吾郎からふっと出てくる「たとえ自分が灰になろうと」間髪入れずに続く勝矢の「構いません!」。物凄いパワーワードだ。「たとえ自分が灰になろうと」。これを勢いの中ですっと言ってしまう高橋一生もいいし、すっと受けてしまう勝矢もいいし、無理に強調して安い決め台詞にしない演出もいい。さりげなく抜けていく流れの中に、ぼわっと燃える炎があって後になってその熱さに気付く、みたいな感覚が良かった。

相変わらずの「NHK臭さ」を逆手に取った音楽と演出は最高です。時代劇風だか何だか、デジャヴ感たっぷりの演出をしてくるのだけど、絶妙に安っぽくならないのが上手い。なかなかシリアスな場面で「何やお前らペアルックじゃねえか」みたいな気持ちにさせてくるのもやたらと粋。突っ込みどころも豊富に置いておきながら、熱く真面目に真剣なドラマであるという良さですよ。

そして少しだけ不安定なところから始まった三人が、少しずつ少しずつ家族になっていく様子に心動かされる。超不幸とか、崩壊してるとか、そんな始まり方ではないけれど、気が付くとちょっとしたすれ違いが発生している。それはどこの家族でもあり得るような些細なすれ違いで、でも自分たちにとっては本当に大きな問題なのだ。吾郎が、千明が、子供たちが、直したり壊したり遠ざかったり近づいたりしながら、自分たちの手で家族を作っていくのがこの物語だ、ということが今回のラストでよく分かる。そしてこれをラブストーリーと表現する吾郎さんの感性が大好き!

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92年生まれ。 常夏の女になりたい テレビドラマを真剣に見ると楽しいということを伝えたいです

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