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水面に夜明けて

揺らめく水面(みなも)が夕陽と溶け合うように、はたして僕らは、他者と溶け合うことができるだろうか。

人と人が、心の奥底で通じ合うことのできない空しさ。

笑顔で同じ食卓を囲むこともできない世の中で、関係性がとろけるとは思えない。

誰かと深く通じ合った時の記憶。

あの記憶が、僕らの心を滲ませてゆく。

その際に抱いた感情が「喜び」であれ、「痛み」であれ、「憂い」であれ。

他者の心を自らの心に映そうと、試みたあの時間。

…その時に流れる涙ほど、青く滲むものはない。

他者と"水明"のような関係を築くには、『記憶』が必須だ。

まるで、空から降り注ぐ陽の光を水面が記憶し、その光景を共に眺めた僕らの思い出が深まってゆくように…

だからこそ、子どもたちが大切な記憶を刻んでいくその機会を、大人が奪ってはいけないと思うんだ。

他人の気持ちが分からず、分かろうともしない関係性なんて、侘しいから…

外は綺麗な夕陽が差しているのに、家の中に独りで、友達と遊んだり、身体感覚を共有することができない…

そんな、誰とも通じ合えない記憶はなるべく減らしたい。

1人でしなきゃいけないことは多々あれど、独りでしなきゃいけないことは、そう多くないから。

独りだったからこそ生まれる表現もあるけれど、独りきりで闇夜をさ迷い続ける人の方が多いから。

「多様」な社会を流れゆく中で、他者と溶け合い、「単一」な関係になれたら、それはとても美しいこと。

多様から単一へ。

そしてまた、単一から多様へ、共に社会を流れゆく。

この移り変わりが、僕らを豊かにする。

溶け合った記憶がないと、見栄えのする色に容易く染まり、単一の中へ入り浸ってしまう。

一度染まった色を落とすのは難しい。

もっと多様な波が押し寄せた時に、混ざり合えず、圧し流されてしまう。

***

『入り浸る多様性』と『溶け込む多様性』

方々で多様な個性に染まり、「この色もスキ!あの色もスキ!」と、己のフェチを多様化させる。

それが、入り浸るような多様性。

一方で、1人の内側に多様な色の個性を見つけ、そこへダイブし、混ざり合い、新たな色を共に作る。

それが、溶け込むような多様性。

…どっちが良い悪いもない。

赤く染まった水面に惹かれ、入り浸り、沈まぬ夕陽を願うこともあるだろう。

それはそれで、泡(あぶく)のように価値あるひと時だ。

祝い事にシャンパンを開けるようなもの。

ただし、、、

水面に映る夕陽の移ろいを、静かに受容するような心持ちを、忘れたくない。

他者の心の行く末を、自らの心へ映したくなったその機会を、逃したくはない。

それは、己に潜む心の水面が、夜明けを迎える準備ができた時だからだ。

決して、夜明けに流されてしまわぬように。

水面に映った感情の奥に潜り込み、そこで見つけた光を、他者へ向けられるように。

スキを通じて見つけた光は、大切な人を照らすためにあるのだから。

共に、夜明けを迎えたい。

朝陽を待ち侘びて。

***

他者の日常を想像し、共に、非日常を創造したい。

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・・・読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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『孤独な夜が明け、いざ朝を迎えようとしている君へ。』

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