都合のいい

「あ〜なんかなぁ、もう皆んな幸せになって欲しいなあ」
叔母に言われた。すぐにはピンとこなくて返事をしなかった。
だけどそのあと色々話を聞いていたら「あ、確かにそうだ。」と納得した。

「考えてみればさ、元夫くんは前の奥さんとの間に3人の女の子がいたんでしょ?で、そのあと離婚して子どもは3人とも奥さんが引き取って、ひとりになって歳もどんどんとっていって寂しいなって気持ちで過ごしてたところにメグちゃんていう子と出会って、結婚して子ども、男の子だよ?が産まれて暮らしてたのに、メグちゃんがいなくなって息子くんとふたりになったから、うーん…、てなったとは思うよ?」

あまり考えていなかった視点だった。ずっと「どうせまわりに血の繋がってない親族やら親戚やら同じ団地の知人やら助けてくれる人は山ほどいるんだし私なんて今頃ただ悪く言われてるだけでむしろ清々してるはずだしなんの未練もないだろう」と卑屈で子供じみた事ばかり考えていた。まったく自分のことだけしか考えてなかった。息子のことすら何も考えていない。これで誰がどうやって幸せになれるんだ。

元夫の嫌なところ言われて嫌だったことされて嫌だったこと苦痛だったこと義父母の嫌だったところ、こればかりに思考が偏ってそればかり言っていたら、当然の事ながら元夫のことを良いように思われなくなり、その人たちの発言を聞いては自分の今までの言動を正当化して自分の都合のいいように自分だけはよく見せようと最低なことをしていた。
叔母は、わたしの残酷で最低なところもしっかり指摘しつつ頑張ってきたことも褒めてくれ、今1番考えるべきは息子くんが無事大切にされるかだよ。と言ってくれた。
正直わたしは息子に嫉妬もしてた。夫と2人でずっとラブラブなまま一生一緒に暮らそうねと伝えたはずなのに妊娠してしまい、中絶をうまくかわされ出産、もちろん息子はかわいくて育児は無我夢中で取り組んだ。夫も息子に夢中で愛情を注いでいた。私は二の次になった。身体だけ求められて気持ちはどこ?親戚親族みんな息子のことチヤホヤ、産褥期でキツい中ろくな睡眠もとらずガムシャラにその子のこと世話してるのは私なのに私の事なんて誰も褒めない母親ならそれをやって当然という顔をされてまた頑張って傷ついても毎晩泣いても怒られても訳わかんなくなっても休めないから頑張ったのに、私のことは誰もなんとも思っていない。

ほら、また自分のことばっかり。新しい命が誕生して責任持たないといけない母親としての自覚持たなきゃいけない、最優先するのは自分じゃなく息子なの。

それが出来なかった、わたしはまだ夫と幸せにふたりだけで暮らしたかった、息子に私の人生を奪われた。とすると、私は私の母親の人生を奪ったことになる。母親の人生を奪っておいて散々迷惑かけておいて、息子を産んだら人生奪われた気になって。訳が分からないほど面倒くさくて最低で母親失格。
この肝心な事柄を誰にも言わなかったのは、きっと嫌われたくないから、私が。なるべく自分のイメージを損なわない誰も離れていかないようにわざと向こうの悪口だけ言ってなんて子供なんだ、子供が子供産んでも育てられるわけがなかった。

どうせ向こうの両親は私が飛び降りた事を話の引き合いに出すに違いない、というかそうだった、裏切られたもう帰る場所がないところを夫が頭を下げてお前の帰る場所俺がまたかえってこれるようにしたんだぞ。って言われた。息子のこと面倒見るのが大変になれば私たちが引き取りますなんて言ったところで私の飛び降りのことをー……と言うと、「メグちゃん、もうそのことは今後一切誰にも言わない方がいいよ。」と言われた。その時はまだ腑に落ちていなかったけど、考えたらそうだ。息子にも人生がある、息子のことを1番に考えれば、自分の母親が飛び降り経験があるなんて知れば絶対にショックを受ける。傷つけることになる。
これからは私が産んだ違う人の人生をちゃんと考えなければならない。彼がこの先なにを望んでどうしたいか、考えなければならない。彼の人生を始めさせたのは私だ。責任がある。

今現在わたしにできることといえば皆の幸せを祈ること。
もう一切相手を下げることなんて言わない、褒めもしない、事実だけ剥き出しの残酷で楽しかった記憶だけ話す。

みんな幸せになってください。


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