観劇記録(01)『カラカラ天気と五人の紳士』
観劇日:2024/4/10
会場:シアタートラム(東京・世田谷)
公式サイト:https://www.siscompany.com/produce/lineup/karakara/
*ネタバレを含みますのでご注意ください
以前から、堤真一さんを生で観てみたかった。しかし、前売りチケットは発売日に即完売。シアタートラムはキャパが200強と小さいため、いくら公演数が多くても仕方ないか…と諦めかけたが、ちゃんと当日券が販売された。
2時間並んで買ったのは、最後列の端。それでも、舞台はすぐそこにハッキリ見える。とても良い会場。
地下鉄の駅のホームを模したセット。かなりリアリティがある。本当に駅にいるよう。ベンチには、開演前からヴィオラを弾いている浮浪者。
開演。棺桶を運んで来る5人の紳士。役作りか、いつもより痩せてほっそりした堤真一さんが姿を現す。そして、ドラマ・映画で聞き馴染んできた、あの声が響く。紛うことなく、本物だ。
『恋ノチカラ』(2002年)、『GOOD LUCK!!』(2003年)、『ビギナー』(2003年)の頃から堤さんが好きだった。『吉原御免状』(2005年)のときは、大阪公演に行こうかどうか迷って、結局行けなかった。受験生時代の話。
以来、出演作をすべて観たわけではないけれど、最近では映画『お前の罪を自白しろ』(2023年)も観た。しかし、生は初めて。堤さんを知って20年以上経ち、ようやく。感慨深い。
しかし…、作品はよく分からなかった。
舞台設定からして謎。地下鉄の駅であることと、ストーリーの関係性とは?
筋書きも独特。懸賞品として棺桶が当たったという出だし。話が展開するにつれ、この舞台はどこかSF感があるというか、寓話的というか。登場人物の言動やセリフも含め、それこそ「虚構」の世界にいるよう。ヴィオラを弾く浮浪者も、最後まで謎のまま。要するに、現実世界を描いているのではない、ということは察知できた。これが別役実氏の世界か。
ギャグシーンは、客席の反応は上々だったが、自分はこの作品に理解が追いつかない焦りの中、素直に楽しめなかった。野間口徹さん・小手伸也さんの立ち振舞いはさすがと感心しつつも。
上演時間は70分。普通なら短く感じるはずだが、逆に長く感じた。どれだけ好きな俳優が出ていても、やはり作品自体を楽しめるかどうかが重要だと、改めて思った。
決して作品自体を否定したいのではない。何かを訴えようとしている思想性は、脚本の紙背に感じ取れる。ラストシーンの蜘蛛の糸(芥川龍之介のオマージュ)然り。ただ、その「主張」が何なのかは感じ取れなかった。ひとえにこちらのリテラシー不足を恥じ入るばかり。
カーテンコール。笑顔の堤さんが印象的だった。
公演プログラムをめくると、こちらだけでなく、演じる側も脚本の難しさに頭を悩ませた舞台裏が窺え、少し救われた気がした。
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