松雪泰子さんについて考える(47)舞台『そして春になった』

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*松雪泰子さんについて考える(51)「歌は語れ、セリフは歌え」*

松雪さん出演シーンの充実度:8点(/10点)
作品の面白さ:7点(/10点)
上演年月:2020年12月(下北沢・本多劇場)
視聴方法:衛星劇場(CS)
 
※会場での観劇ではなく、CS放送で視聴した感想です。
※多少のネタバレを含みますが、決定的なオチや展開には触れないようしております。
 
結構読解力が要る作品だと思った。自分の理解力が乏しいだけかもしれないが…。2回観てようやく粗筋が分かった気がするが、正直、深いところまでは理解しきれていないと思う。
 
M&O Playsプロデュース、岩松了氏が作・演出の二人芝居。松雪泰子さん&ソニンさんの組と、片桐はいりさん&瀧内公美さんの組によるダブルキャスト公演。コロナ禍の中で制作・上演された、普通の芝居とは異なる一種の試行作。
 
出演者が2人とも台本を手にしているため、そのビジュアルだけだと朗読劇っぽいのだが、上演前の岩松氏のコメントに「朗読劇とか音楽劇とかの冠を付けたいところですが、どれが当てはまるものになるのか今は明言出来ません」とあるように、朗読劇だから台本を手にしている訳ではない。…ということが、観ているうちに分かってくる。
 
これに関して、公式情報のあらすじの中にある「監督の妻(松雪泰子/片桐はいり)と愛人であった女優(ソニン/瀧内公美)」という書き方は、ミスリードのような…。
 
基本的に、劇中劇が展開されている。さらには、劇中劇中劇のような箇所も出てくる。それゆえ、話の展開と主演2人の関係性を、観ているこちらが頭の中で混乱することなく正しく整理できるかが鍵になる。かなり集中して観る必要があるので、頭を使わされる。これを会場で初見で理解するのは、少なくとも自分にはできないと思った。
 
上演時間が50分と短いが、二人芝居なので松雪さんはずっと舞台上にいるため見応えあり。舞台独特の太くて芯のある発声。役柄的に、低めで艶のある声色。台本を手にしているので、身振り手振りは控えめだが、表情はシーンに応じて豊かに変わる。
 
セットはシンプルだけれども細かいところは結構凝っていて、音楽・効果音等も手が込んでいた。作品の世界づくりがしっかりしているので、没入感は十分味わえる。
 
 

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