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大手外資系保険会社の生保営業マンが一切保険を売らずに人生相談に乗ってくれた話

「ありがとうございます!将来が見えました!!」

改札前で硬い握手を交わし、その人が帰るのを見送った。

まさかこれほど未来が明るく見えるとは、思いもよらなかった。

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こんにちは、25歳会社員、転職活動中の橘です。
前回は、僕の就活と仕事の現状についてお話しましたが、
今回は、転職を意識したきっかけとなった出来事を話します。

前回の話はこちら↓↓


◯親から生命保険への加入を促される

正月に地元(愛知県)に帰省した際、父から生命保険への加入を勧められました。

「若いうちに入っておくと支払金が安い」
「事故や病気で働けなくなったときに備えろ」

「父さんの友達の保険屋さん紹介するから、一度会ってみるといいよ」

正直、保険か…面倒だな…と思いました。

転職を意識し始め、
次の仕事や自分の価値観について考えたいのに、
わざわざ時間を作って保険の話を聞くことが、時間の無駄に思えました。


しかし、父もしつこく、
会うと言うまで東京に帰さない勢いだったので、
一度思考を停止し、とりあえず会ってみることにしました。

◯小竹さん(仮)に会う

聞くと、保険屋さん(小竹さん)は、
大手外資系保険会社の地方支店の支店長で、
ライフプランナーの資格を持つ凄腕営業マン

月に数回東京出張があるそうなので、
タイミングを合わせ、職場の近くの喫茶店で待ち合わせをしました。

「忙しいのにありがとうね、今日は橘さんのための1時間にするからね。」

店につくと、先に座っていた小竹さんが、
大きな手をこっちに向かって振りながら
しわが見えるクシャッとした笑顔で
暖かく迎えてくれました。

小竹さん、おそらく50代後半で、
身長は180くらい。恰幅もよく、
目がクリッとしています。

整えた白髪と、身体に合ったネイビーのスーツが良く似合っていて、高そうに光るシルバーの時計も嫌味がありません。

物腰や口調が優しいので、「知的な熊さん」という印象でした。

「橘さん久しぶりだね、高校生ぶりだね、すっかり社会人だね!」

僕はすっかり忘れていましたが、
高校生の頃、家に遊びに来た小竹さんに、
部活や進路の相談をしていたようです。

なぜか小竹さん、その当時の話をかなり覚えていました。
「あの頃は◯◯大学の入試の勉強をしていたよね」
「部活の成績が出ずに悩んでいたよね」

すごい、一度話しただけの高校生の話を、よく細かく覚えているな…
話していると、優しく包まれているような感覚になり、
「保険の営業マン」よりも、「家族や友達」に近い存在に感じました。

「最近は仕事どう?楽しくできてる?」

しばらく談笑したあと、そう聞かれ、気がつくと相談するつもりのなかった

仕事に対する不満や将来への不安を、どんどん話していました。

・今の仕事に将来性を感じない、満足していない
・人の多い都会の生活に辟易している
・遠距離恋愛の彼女との結婚を考えているが、彼女に地元を離れる気がない
・将来は地方で暮らしたいが、東京でのキャリアも切り捨てられない

彼女との話、これまで誰かに相談したことがありませんでした。
仕事の悩みも、こんなに素直に吐き出したり、自覚したことはなかった。。
小竹さんの安心感、傾聴力は凄まじいものでした。

◯小竹さんによる提言

小竹さんは、目を合わせて深く頷きながら、僕の話を一通り聴き終わると
ペンと紙を取り出して要点をまとめながら、考えを説明してくれました。

①彼女が仕事を辞めて東京に来る場合、一人で家族を養う必要がある

「彼女が専業主婦になって、橘さんが稼ぐとなると、今よりずっと仕事が大変になって、好きな筋トレやライブ参戦に割く時間は少なくなる。もっと不満が溜まると思うよ」

②東京で一人で働くるより、地方で二人で働いたほうが資産形成がしやすい

「例えば東京で年収900万円になるのは大変だけど、共働きで合計年収900万円の方が手取りは多いし、現実的だよ。地方は支出が少ないから可処分所得も多くなるしね。」


↓↓その時見せてもらった所得表

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③彼女の実家近くに住めば、彼女の両親から育児の支援を得られる

「色々な家族を見てきたけど、お嫁さんの実家の近く(車で30分くらい)に生活拠点を持つと、結婚生活がうまくいくことが多いよ。」

④地方に住めば、都会の喧騒から解放された自然豊かな暮らしが手に入る

「20年近く暮らした田舎の風景や暮らし方に憧れるのは自然なこと。都会の喧騒が気になるのも当然。地方に残っている友達にも頻繁に会えるよ」

⑤地方でもクリエイティブな仕事はできる

「確かに田舎には広告やマーケティングの仕事は少ないけど、東京でこの職種を探す人材は多いから、良い会社に入る競争は大変だよ。」

「東京で広告代理店の経験をもつ橘さんみたいな人材は、地方では希少価値が高い。業種や職種が広く選べる可能性は高いし、東京と地方をつなぐ仕事はきっとやりがいがあると思うよ」

***

小竹さんは、
熊のようなその大きな体を小さく丸め、
ルーズリーフに図や数字を書きながら、
ひとつひとつ説明してくれました。

「ありがとうございます…すごく腑に落ちました…」と感動していると、

「橘さんは早く地方で新しい生活を始めるのがいいと思うよ!」

「まずは地方での仕事について、色々調べてごらん。また来月会おう」

こうして喫茶店60分の講義は幕を閉じました。

◯小竹さんとの話し合いを終えて

喫茶店にいたのはちょうど一時間ほど。

最初の20分くらいは他愛もない会話だったので、
このままのんびり時間が過ぎていくもんだと思っていたのですが、

将来の悩みを相談してからは、ギアが入れ替わったように、
僕の将来について議論が始まり、あっという間に一時間が経っていました。

結局その日は当初予定していた「生命保険」の話は一切せず、
僕の将来相談で終わってしまいました。

店を出て、駅まで小竹さんを送り、
別れ際、改札前でそのことを謝ると、

「とんでもない、橘さんの人生を考えられて良かった、また相談してね」


温かい笑顔とともに、大きな手のひらが差し出されました。

あんまり乗り気じゃなかったのに、こんな心変わりがあるなんて。。

「ありがとうございます!将来が見えました!!」


自分でも驚くほど大きな声が出て、恥ずかしくなって笑いながら、
硬い握手を交わして、ホームに登っていく小竹さんを見送りました。

僕も、将来に向かってしっかり考え、旅に出る準備をしようと強く思いました。


◯今回のまとめ

小竹さんとの出会いで、

・面倒だな、と思っていたら、とても有意義な人生相談ができました。
・東京の仕事を辞め、地方で新たなキャリアを作ろうと決心しました。


次回は、じゃあ実際、地方で何するの?どこに住むの?彼女はなんて?
このあたりをお話しようと思います。

また次回の更新で!

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最後まで読んでいただきありがとうございます!
note初心者なので、スキやコメントいただけると大変うれしいです、
こうしてほしい、こういうことを書いてほしい、といったご要望もお待ちしています。


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