見出し画像

樹木たちの知られざる生活 - 今年のベスト本

ドイツの営林署で働くペーター ヴォールレーベンさんの書です。
私のベスト本となりました。バイブルかもしれないです。

この本を読んで、物事のとらえ方が変わったと思います。
これまでのわたしは視野が狭かったと言わざるを得ません。とても、です。
私の理解が不十分かもしれないのですが、私の気づきをつぎに挙げさせてください。

+++

時間の流れはその生物に固有

カゲロウは1日しか生きない、蝉は1週間、と聞きます。
それが短い、と考えるのはヒトを基準に考えているから。
70年~80年を基準に考えているからですね。

この本で描かれている木は、樹林の中で生きていく木を指しているので、数百年が生命の基準になっています。長いですね。

一人で生きているわけではない

生物の単位を、ヒトを中心に考えていると、個をイメージしてしまいます。
でも、家族単位でひとつの生物と考えてもいいかもしれないです。
樹木の場合は、特にそう考えるべきだ、と言っています。

ヒトも、大腸の中で菌と共存していますし、もしかしたら菌の共存がないと生きていけないのかもしれないです。そう考えていくと、人だって、周りのものを巻き込んでひとつの生命なのかもしれないのです。皮膚が生命の境界だ、という固定観念も怪しい、とということに気づきました。

樹木のひとつの生物単位は、”森”  なのです。
個体が死んでも、森という生命は生き続けているのです。

植物は動けない? いや、森は動いている。

”動物” と ”植物” を対比させて、植物は動けない、と思っていました。
生物の単位が ”森” であり、その時間単位が 500年 であるとして、改めて考えてみると、森は移動している、ということに気づきます。

樹木だけで生きてはいない。

個体の境界を、ブナの樹、ナラの樹、と思っていました。
でも、実は根の周りに存在している菌糸と一緒に生きています。

樹は菌糸とつながり、その菌糸は樹とつながってネットワークを作っています。樹を一つの個体と考えて分類したのは人が作り出した分類にすぎないのです。

樹と菌糸、それと一体になった森で一つの生物と考えよう。
そして、それらは数百年の年月をかけてゆっくりと動いていることに気づこう。そう、動物のように。

樹木は会話する。思考もする。

言語だけがコミュニケーションの手段だ、というのは人の奢り。
菌糸や虫、鳥たちを使ってネットワークを作っているのです。
日照、気温、害虫、病気の情報を彼らのネットワークから得ているし、伝えています。特に菌糸や昆虫が重要なネットワークの道具になっているのです。

人類よりも古くから、ネットを使って情報交換していたのは、樹木でした。それがインターネットより劣っている、と言い切れるでしょうか。

樹木の動きを止めているかもしれないヒト

海岸沿いに位置している森林。
それらがあってはじめて内陸部に雨の恵みをもたらしています。

ヒトは己のたった数十年のエゴのため森林を破壊していることを、真剣に恥じるべきときにきています。
私たちのエゴが、これからの地球に何をもたらすかはわからないけれど、
よくないことは確かなことです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?