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不幸脱出マニュアル⓪プロローグ「私はまっすぐに歩けるようになった」

生まれてきて30年あまり。私は初めて、まっすぐに歩けるようになった。
左右の足を正しく使い、胸を張り、地面を踏み締めて歩けるようになった。

なんの話かというと、私にはずっと左足だけ内股で歩く癖があった。すごく気にしていたからこれを改善するために何冊も本を読んだし、整体、カイロプラクティック、足ツボ、背骨の矯正にも通った。マッサージグッズ、姿勢矯正グッズに金を使い、姿勢にきくエクササイズを熱心にやり、筋トレし、ストレッチをした。それでも私の左足は全く改善せず、いつも不格好に、うつむくような角度で私を運んでいた。

それが先日、たった1冊の、ボディケアの本を読んだことで全てが変わった。
その本がすごかったというのももちろんあるけど、多分、いや絶対にそれだけではない。本を読みノートに書いて情報を整理した瞬間、私の中に蓄えられた知識の点たちが全て線でつながり、何をやるべきなのかがわかった。
そしてものの5分、10分、自分の体を触りほんの少しストレッチをすると、私の内股はたちどころに治ってしまった。

両足を上手に使って歩くことができた…言葉にできない感動を味わいながら、
私は小さい頃のことを思い出していた。

私は実家の和室に置かれた座卓に向かって勉強をしていた。しっかりと正座をし、母に言われた量の勉強課題を毎日毎日こなしていた。何時間でも正座して。そうしていれば、大人たちが褒めてくれたから。描き子ちゃんは正座が上手でお行儀がいいと褒めてくれたから。
あの時私は、左足首を下に敷いていた。私の足首は、正座の姿勢のまま固まってしまっていたのだった。

私の体の歪みは、私の人生の歪みそのものだった。
私は親の言うことを聞いて勉強ばかりの幼少期を過ごし、世の中に受け入れられようと自分を殺して他人の顔色を伺うことばかり上手くなり、自分が何者なのかもわからないまま大人になった。このままではいけないと思ったのは、20を過ぎてから。

それから10年近くかけて、山ほどの自己啓発本を読み、ネットの情報をあさり、何度も絶望を繰り返しながら、ようやく自分が何者であるかを正しく把握できるようになってきた。頭は冴え、怒りや哀しみは少なくなり、泣くこともほとんどなくなった。激しく恨んだ人たちを許し、家族を、人生を、暮らしを、自分自身を愛することができるようになってきた。

左足がまっすぐ地面に乗ったとき、ああ、今この瞬間に、終わった、と思った。やっと全部が繋がった、伏線が回収された。エンドロールが流れるなら今だ。
私の左足の歪みは、私の中に残っていた最後の歪みだったのかもしれない。
なんて言うと大袈裟に思われるかもしれない。けどその瞬間、体と心は決して別々のものではないということを、頭ではなく心で理解できた。
悲しく苦しい過去にこだわり、全てを恨んだあの時間、世の中を恨み、未来を悲観した時間。とても辛かった旅。もうすぐ終わりそうだと薄々は感じていたけれど、今ここで終わった。ピリオドが落ちてきた。もういい、全部どうでもいい。私は自由、幸せだ。もちろんこれからも、悲しいこと、苦しいことはあるに決まってる。だけど私は、それを乗り越える方法を理解した。

なんだ、こんなに簡単なことだったんだ。
嬉しくて嬉しくて、その日は何時間も歩いた(翌日、左脚が筋肉痛になった)

それから2週間もたたないのに、私の歩みは日に日に改善し、もう今では、以前の歩き方がどうだったのかよくわからなくなってきている。
そして精神の上でも、昔の自分がなぜあんなに苦しんでいたのか、なぜあんなに悲しかったのか、もがいていたのか、よくわからなくなってきているのがわかる。もう何もかも、全てが変わってしまおうとしている。どんな物事も一度簡単に把握できてしまうと、もう二度と難しく考えることはできない。自転車に乗れる人が、乗れなかった頃の恐怖を思い出せなくなるのと同じだ。

だから私は、過去の私のことを全部忘れてしまう前に、これまでに学び、役に立ったことを全部まとめておきたいと思った。
「今度こそ本当に不幸から抜け出すための具体的方法」それはかつての私がどうしても読みたかったもの。山ほど読んだ自己啓発本から学んだ、けれど、それらの本には直接的には書かれていなかった物事。
なぜ私はいつまでも不幸なのか、そして、どうすれば幸福になれるのかというシンプルなことを「具体的に」「詳細に」案内してくれるもの。

自己肯定感を上げ、自分を愛し、過去を恨まず、未来を心配せず、幸福に、好きなように生きる。そのために今日この日この時から、一体何をしたらいいのか?ということ。もちろん、「気をつける」「頑張る」とかの精神論や、スピリチュアル的なもの、宗教的なものは全く抜きで。

これを書くことは過去の自分を癒す一種のセラピーのようなもので、書くことそのものが目的と言える。私はこれらの文章を書くことで、私の中に出来上がった幸福の回路がさらに強化されることを何より期待している。
と言いつつ、あわよくば、かつての私と同じようなことで苦しんでいる人に届いて欲しい、さらにあわよくば、その人の役に立てば嬉しいし、いや役に立たなくとも、読み物として楽しんでもらえたら嬉しいな、と欲を出している。
そんでそのうち、有料記事なんかも作りたいな、と、欲も広がっていたりする(正直な告白)。

「不幸脱出マニュアル①」はこちらから↓

https://note.com/kaqico/n/n29d984cc49b9

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