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目の前であなたを見つめているその世界に、微笑みかけることができるか

「最高の幸せ」を頭に思い描くとき、私たちはどうしても、100%を夢想してしまう。

多分そこに、間違いの始まりがある。

お金持ちになりたいと願うとき、そこで想像するするのは永遠に途切れることのない、使い切れないほどの豊かさ。

仕事で自己実現したいと願うときは、永遠にやりがいを感じられる楽しい職場を、いつまでも上っていき、下がることのない業績を想像する。

恋愛の成就を願うときは、永遠に変わらない愛を。

安定を願うときは、決して消えることのない安心を。

どうあっても揺らがない平和。条件なしの友情。決して変わらない、非の打ち所のない美貌。

とにかくそういうものを想像してしまう。

SNSなんかを見ていると、そういうものが本当らしく思えるんだよね。
完全無欠の「絶対的何か」が存在するように思えて、誰かがそれを手にしているように見える。だったら私もほしい。私だって、完全なる安全を、成功を、美を、富を、自由を手に入れたいとみんなが願う。

でも、実際にはどうなるかというと、
大金持ちになっても、愛されてモテモテでチヤホヤされても、世界中に知られる成功者になっても、結局のところ、問題は繰り返し起こってくる。

自分のことをブスだと思わない美人はいない。お金のことで悩まない金持ちはいない。なんの問題も抱えていない夫婦はいない。仕事のことで悩まない成功者はいない。人気の低迷に悩まないスターはいない。

私たちはみんな不安定に揺れる波の上にいて、どんなに沢山の夢が叶ったとしてもその波からは逃れられず、いつまでも「絶対的何か」を探し続ける。

でも、完全無欠の「絶対的何か」を誰も手に入れられない。それは存在しないものだから。

それはまるで、想像上の生き物のようなものだ。私たちはユニコーンがどんな姿形をしているかよく知っているけれど、ユニコーンに出会うことは決してない。

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